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SREエンジニアとは?SE・インフラ経験者が活かせるスキルと技術スタック

SREエンジニアとは?SE・インフラ経験者が活かせるスキルと技術スタック

2025.11.11

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SRE(Site Reliability Engineering)は、Googleから生まれた「信頼性をエンジニアリングする職種」です。クラウドや自動化が当たり前になった今、SREは開発と運用の橋渡し役として、企業のサービス品質を支える重要な存在となっています。

本記事では、SREの役割や求められるスキル、キャリアパスを詳しく解説します。今の自分の経験がどこまで通用するのか、そしてどうキャリアアップにつなげられるのかを明確にしていきましょう。

また、キッカケエージェントでは求職者の現時点でのスキルを分析し、SREへの転職を実現するためのロードマップを提示できます。SREへの転職を考えている方は、お気軽にご相談ください

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SREとは

Googleから生まれた「サイト信頼性エンジニアリング」

SRE(Site Reliability Engineering)とは、Googleが提唱した「ソフトウェアエンジニアリングの手法を運用に応用する文化と職種」です。単なる運用担当ではなく、システムの信頼性と開発速度を両立させることが目的です。

障害対応や監視を「手作業」で行うのではなく、自動化・コード化によって解決します。 SREは開発と運用の境界をなくし、サービスの継続的な改善を担います。

DevOpsとインフラエンジニアとの違い

SREDevOpsインフラエンジニア
目的開発速度と信頼性の両立開発と運用の連携促進システムの安定稼働維持
主な役割信頼性指標(SLO/SLI)設計、自動化、障害対応組織・プロセス改善、コミュニケーション促進サーバ・ネットワーク構築、監視、運用保守
代表技術Terraform / Kubernetes / Prometheus / GoGit / CI/CD / ChatOpsLinux / VMware / Zabbix / Shellスクリプト

DevOpsとの違いは「文化」か「実践」か

DevOpsとSREは密接に関係していますが、本質的な違いは「文化」か「実践」かです。DevOpsは「開発と運用の壁を壊し、協力して価値を届けよう」などの文化的・組織的アプローチです。チーム間の連携、継続的デリバリー、コミュニケーションの改善といった組織文化の変革が中心となります。

一方、SREはこの文化を技術的に具現化する実践モデルです。SLO(Service Level Objective)やエラーバジェット、ポストモーテムなどの明確な運用指標とルールを導入し、再現性のある方法で信頼性を維持します。つまり、DevOpsが「理念」であるのに対し、SREはそれを再現可能な仕組みで運用する技術職です

インフラエンジニアとの違いは「手動」か「自動化」か

従来のインフラエンジニアは、サーバ構築やネットワーク設定、障害対応などを人手と手順書ベースで遂行するケースが多く、業務の多くがルーチン化していました。SREはその領域をソフトウェア的アプローチで自動化する点が決定的に異なります。

たとえば、サーバ構築をAnsibleやTerraformでコード化し、監視やアラートをPrometheusやGrafanaで自動化できれば、再現性、スピード、品質が改善可能です。

また、SREは障害対応そのものを減らすため、Toilといわれる反復的な手作業を最小化する思想が求められます。インフラエンジニアが「安定稼働を守る職種」だとすれば、SREは「安定をシステム的に仕組み化する職種」です。この発想の転換こそが、SREを次世代のインフラ職として位置づけています。

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あなたのSE・インフラ経験はSREで役立つ

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深夜の障害対応・原因究明の経験

SREの重要文化「ポストモーテム」を実践する力に変わる

ポストモーテム(Postmortem)とは、障害やトラブルが発生した後に原因を分析し、感情を排除して改善策を文書化するプロセスです。 日本語では「事後分析報告書」に近い概念ですが、SREでは「誰が悪いか」ではなく「なぜ起きたか、どう防ぐか」に焦点を当てるのが特徴です

この文化を実践できる人は、チームの信頼を得やすく、継続的な改善をリードできます。

たとえば、過去に「なぜ同じ障害が繰り返されたのか」を追究し、監視設定や手順を見直した経験があれば、それはすでにポストモーテム的思考です。

サービスの痛みを知るからこそ、実用的なSLO/SLIを設計できる

SREではサービスの品質を数値で管理します。その中核にあるのがSLO(Service Level Objective)とSLI(Service Level Indicator)です。

  • SLI:実際のサービス指標(例:レスポンス時間、エラー率、稼働率)
  • SLO:その指標に対する目標値(例:稼働率99.9%、平均応答0.3秒以内)

現場で障害やユーザー影響を体感しているエンジニアほど、「何が許容できる不具合か」「どの指標が重要か」を現実的に設定できます。たとえば、監視アラートが多すぎてチームが疲弊した経験のある人は、「過剰なSLOがチームを壊す」ことを理解しているはずです。この実感をもとに、ユーザー満足度と開発効率のバランスを取るSLO設計ができるようになります。

アプリケーション開発・運用の経験

開発者の視点がわかるから開発速度を落とさない信頼性改善を提案できる

SREの最大のミッションは、「信頼性」と「開発速度」の両立です。 一般的な運用担当は障害を恐れるあまり、変更やリリースを制限しがちです。 しかしSREは、開発者の立場を理解しているからこそ、開発を止めずに品質を保つ仕組みについて提案できます。

たとえば、アプリ開発経験者であれば「リリースのたびに人手でテストを実施している」などの課題に気づき、自動テストとCI/CDを組み合わせて高速に検証する環境を整えられます。また、開発チームが夜間リリースを避けていた場合でも、SREの立場からロールバック手順を自動化し、心理的負担を軽減する提案が可能です。

Toilを減らしコードで解決するSREの思考に直結する

Toil(トイル)とは、人手で繰り返す定型作業を指します。 SREはToilを減らすため、スクリプト化やCI/CDによる自動化が重要です。

たとえば、毎回同じ設定変更や手動デプロイを行うような業務は、TerraformやGitHub Actionsで再現性を高めて効率化しますまた、API障害が発生した際に監視ツールが異常を検知し、自動的に再起動やフェイルオーバーを行うよう仕組み化するのもSRE的なアプローチです。

インフラ構築・ミドルウェア設定の経験

IaC(Infrastructure as Code)へのキャッチアップが誰よりも早い

IaC(Infrastructure as Code)とは、インフラ構成をコードとして管理・自動化する手法です。 従来は手作業で行っていたサーバ構築や設定変更を、TerraformやAnsibleなどのツールでスクリプト化し、再現性と効率を高めます

物理サーバの構築やOS設定を経験しているエンジニアであれば、リソース依存関係や設定順序の重要性を理解しているため、IaCの仕組みを自然に理解できる点が強みです。たとえば、WebサーバやDBサーバを個別に構築していた経験は、Terraformの「モジュール設計」や「状態管理」の理解にもつながります。

システム全体のボトルネックを特定するオブザーバビリティの素養がある

オブザーバビリティとは、システム内部の状態を外部から観測できるようにする考え方です。 SREにおいては、数値監視・記録・処理経路の3要素を組み合わせ、「なぜ遅いのか」「どこで詰まっているのか」を可視化します。

ミドルウェアのパフォーマンス調整やログ解析を行ってきた経験は、すでにこのオブザーバビリティの基礎力がある状態です。たとえば、ApacheやNginxのレスポンスタイムを調整したり、DB負荷を監視してクエリを改善したりした経験は、PrometheusやDatadogなどの監視設計にも応用できます。

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SREに求められる5つのスキルセットと代表的な技術スタック

スキルセット技術スタック
クラウド・コンテナ技術AWS, GCP / Kubernetes, Docker
IaC(Infrastructure as Code)の実践スキルTerraform, Ansible
オブザーバビリティ(可観測性)の設計・実装スキルPrometheus, Datadog
CI/CDパイプラインの構築・運用スキルGitHub Actions, CircleCI
ソフトウェアエンジニアリング能力Go, Pythonによる自動化ツール開発

クラウド・コンテナ技術(AWS, GCP / Kubernetes, Docker)

クラウドやコンテナは、SREにとってスケーラビリティと可用性を実現する基盤技術です。 AWSやGCPでインフラをコード化し、KubernetesやDockerを用いてコンテナ単位でサービスを管理します。

たとえば、急なトラフィック増加時に「自動スケーリングでリソースを最適化する」「障害時にPodを自動再起動して復旧する」といった運用は、これらの技術によって実現されます

IaCの実践スキル(Terraform, Ansible)

IaCは、インフラ構成をコードで管理し、自動的に再構築できるようにする技術です。Terraformはクラウドリソースを宣言的に構成し、Ansibleはサーバ設定を自動化します。

自動化により、人手による設定ミスを防ぎ、複数環境を一貫した状態で保てます。実務では、TerraformでAWS環境を構築し、Ansibleでアプリのデプロイ設定を自動化する構成が一般的です。

オブザーバビリティの設計・実装スキル(Prometheus, Datadog)

オブザーバビリティとは、システム内部の状態を観測・分析し、問題を数値で特定できるようにする仕組みです。 Prometheusでメトリクスを収集し、Grafanaで可視化、Datadogでアラート管理を行うのが一般的です。

たとえば、レスポンス遅延が発生した際にどのサービス・ノードが原因かを瞬時に判断できる環境を整えられれば、SREとして重宝されます

CI/CDパイプラインの構築・運用スキル(GitHub Actions, CircleCI)

CI/CDは、コードの変更を自動でテスト・ビルド・デプロイする仕組みです。 GitHub ActionsやCircleCIを活用し、コード変更が即座にテストされ、問題なければ本番環境に反映されます。

CI/CDにより、リリース頻度を上げながらも信頼性の確保が可能です。たとえば、障害修正のパッチを数分で安全にデプロイできる仕組みは、SREが構築するCI/CD基盤によって支えられています 

ソフトウェアエンジニアリング能力(自動化ツール開発)

SREは運用をコードで改善する職種であり、プログラミングによる問題解決能力が不可欠です。そして、GoやPythonは、軽量で保守性が高く、自動化ツールや監視エージェント開発に最適です。

実務では、Pythonでアラート通知を最適化したり、Goでリソース使用率について監視するエージェントを実装したりします。

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未経験からSREは目指せる?厳しい現実と現実的なキャリアパス

結論:未経験から直接SREになるのはほぼ不可能です

SREは運用自動化や監視、信頼性設計、組織改善など幅広い専門領域を統合する高度職です。 単に技術を知っているだけでなく、障害対応や可用性の維持といった実運用の重みを理解していることが前提となります。 したがって、業務経験のない段階からSREへの転身は困難です。

また、SREが扱う技術は、クラウドやネットワーク、セキュリティ、アプリ開発、CI/CDなど多岐にわたります。SREはチーム文化にも深く関わるため、「開発者と運用者の課題を両方理解できる立場」が求められます。これらは座学や資格勉強だけで身につくものではなく、現場経験を通じて初めて培われる判断力と再現性の知見が必要です

インフラエンジニアかWeb系開発エンジニアから経験を積むのが一般的

SREを目指す場合、まずは関連領域で基礎的な技術と運用経験を積むことが王道ルートです。 特に、インフラやWebアプリ開発の経験は、SREの自動化や信頼性設計につながります。

以下は、未経験からSREを目指すための現実的なステップです。

  1. IT基礎を学ぶ(Linux・ネットワーク・Git・クラウドの基本操作を習得)
  2. インフラエンジニアまたはWebエンジニアとして実務経験を積む
    • オンプレ構築やクラウド環境運用、CI/CD導入などを担当
  3. 自動化ツールの理解を深める(Terraform, Ansible, Docker, Kubernetesなど)
  4. 監視・可観測性の設計を経験(Prometheus, Datadog, Grafanaでメトリクス可視化)
  5. 小規模でもSRE的改善を実践
    • 手動作業をスクリプト化し、運用効率向上の活動を行う
  6. 転職市場でSREポジションに挑戦
    • スキルポートフォリオにIaC・CI/CD・監視設計などを明示

未経験からSREへの転職が諦められない方は、キッカケエージェントにご相談ください。キッカケエージェントでは、現在のあなたのスキルから適切なキャリアパスを提案し、二人三脚の体制でSREへの転職をサポートします

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SRE転職のよくある誤解とQ&A

【不安解消】SRE転職のよくある誤解とQ&A

Q1.アプリ開発経験がメインなのでインフラ知識に不安があります。

開発経験者でも問題ありません。クラウド環境(AWS/GCP)の基本構築を学び、IaCと監視ツールに触れることでSREに必要なスキルをキャッチアップ可能です。

Q2.40代からでもSREへのキャリアチェンジは可能ですか?

結論、可能です。特に運用設計や障害対応、チームマネジメントの経験は高く評価されます。マネジメント寄りの「SREチームリード」も有望です。

Q3.SREの求人は具体的にどんな企業が出しているのですか?

SREはGoogleやメルカリ、サイボウズなどの大規模サービス企業に加え、スタートアップでも採用が増加傾向です。

特にクラウドネイティブな開発体制を持つ企業が多く、リモート勤務や裁量労働が一般的です。

Q4.今すぐ学習を始めるなら、何から手をつけるべきですか?

SREへの転身を考えているなら、まずはAWS認定資格(SAA)やTerraformの実践、そして「SRE本(Site Reliability Engineering)」の読了を推奨します。また、SRE転職のリアルな実例やポジション紹介は「キッカケエージェント」までご相談ください

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まとめ

SREは、単なる運用担当ではなく、システムの信頼性をコードで設計、維持するエンジニアリング職です。 DevOpsの理念を実践し、障害対応や監視、自動化などを通じて、「止まらないサービス」を技術で支えることが使命です。

一方で、SREには高度な技術力と現場理解の両立が求められるため、未経験からの直接転職は難易度が高くなります。しかし、インフラやWeb開発で培った経験を活かし、IaCやクラウド、CI/CD、監視設計を段階的に習得すれば、十分SREへキャリアを広げられます。

SRE転職を現実的に進めたい方は、キッカケエージェントにご相談ください。経験・スキルの棚卸しから、SREに転身できるポジション提案、年収相場の比較まで、専門エージェントが一貫サポートします

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IT菩薩モロー

この記事を監修した人

毛呂 淳一朗 「IT菩薩モロー」

YouTubeでITエンジニアの転職やキャリアに関する情報を発信するキャリア系インフルエンサー。YouTubeチャンネル登録者数は3.4万人(2025年4月時点)。

エンジニア採用担当としての経験も豊富で、企業が求める人材や視点も熟知。その経験を活かし、現在はITエンジニア特化のキャリア支援企業「キッカケエージェント」を立ち上げ、月間120人のITエンジニアと面談を行う。エンジニアのキャリア志向と企業課題の解決を両立する最適な人材紹介を提供。

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