「大手企業の安定感のある環境で働きたい」
「もっとスケールの大きなプロジェクトに携わりたい」
そんな思いを抱いている方は多いのではないでしょうか。特に20代後半から30代前半の方は、転職のボーナスタイムにいるからこそ、キャリアアップのために転職を考えるのは自然な流れでもあります。
そこで今回は、「大手SIerへ転職するポイント」について解説します。「中小SIerとの違い」や「転職のためにやるべきこと」も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
大手SIerへSIerが転職を考える理由

現在の給与・福利厚生に不満がある
中小SIerでは、給与や福利厚生、技術的な環境が十分に整っていないと感じる方が少なくありません。下請け業務が多く、顧客の顔が見えない中で働くことへの不満は、転職理由として多くの方が抱きやすいものです。
また、中小SIerは研修制度や教育体制の不足により、スキルアップの機会が限られている点も不満の要因となります。経営の不安定さや将来性への懸念もあります。大手SIerへ転職し、より安定した待遇と充実した環境を求めるのも自然な流れと言えるでしょう。
働く時間が長すぎる
現在の働き方を40~50代まで続けていられないという理由で、転職を考える方もいます。体力的な面はもちろん、結婚や子育てなどのライフイベントが要因です。
中小SIerでは人手不足により1人当たりの業務負荷が高く、長時間労働が常態化しています。プロジェクトの納期に追われ、残業や休日出勤が頻繁に発生します。ワークライフバランスの改善を求めて、大手SIerの整った労働環境に魅力を感じる方が増えているのです。
将来への漠然とした不安を解消したい
IT業界は変化が激しく、将来性のない技術やビジネスモデルに携わっているのではないかという不安を抱く方が、転職を考えるケースもあります。大手SIerは最新技術への投資も積極的で安定した経営基盤があるため、将来への不安を解消できると考え転職をします。
また、中小企業では経営状況の変化に敏感で、景気の影響を受けやすい点も不安要因です。資金力のある大手企業であれば、長期的なキャリアプランを描きやすく、安心して技術力向上に専念できると期待されるのも背景にあります。
もっとスケールの大きな仕事がしたい
中小SIerでは、小規模なプロジェクトや部分的な開発に携わることが多くあります。一方で、大手SIerは官公庁や金融機関など、社会のインフラを支えるような大規模プロジェクトに携わる機会が豊富です。
もっとスケールの大きい仕事をしたい方は、自分の仕事が社会に大きな影響を与える実感を求めて、大手への転職を目指します。最新技術を活用した革新的なシステム開発や、数百億円規模のプロジェクトでのリーダー経験など、技術者としての成長機会も魅力的な要因です。
なお、SIerから大手SIerを含めた様々な職種への転職は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
大手SIerへの転職が不可能ではない理由

20~30代前半まではポテンシャル採用の可能性があるため
大手SIerへの転職は、若手(20代後半まで)であればポテンシャル採用の余地があります。2025年現在、転職市場は超積極採用の傾向にあり、30代前半もその流れが続くと予想されています。そのため、20代~30代前半までは大手SIerへの転職は決して不可能ではありません。
ただし年齢を重ねるほど、より具体的で専門的な経験がなければ、転職のハードルは高くなります。こうした採用傾向がずっと続く可能性も低いため、今が転職のチャンスと言えます。
中小SIerで習得したスキルは大手でも活かせるため
大手SIerが求めるのは、単に技術力が高い人材だけではありません。プロジェクトを成功に導くためのリーダーシップや課題解決能力、多様な関係者と円滑にコミュニケーションを取る能力も兼ね備えた人材です。技術力に加え、ビジネス視点や人間性を兼ね備えた人材が求められます。
加えて、顧客の要求を正確に理解し、チーム内での調整力を発揮できる経験も評価ポイントです。こうしたスキルは中小SIerでも十分に身につけることができるため、転職で悲観する必要はありません。
ただ、転職活動を進めている方の中には、転職できないと悩んでいる方もいるでしょう。なぜ転職できないと感じるのかを、打開策込みで以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
大手SIerへの転職前に知っておきたい本当の姿

中小SIerのSEとは働き方が違う
大手SIerでは、多くのプロジェクトで上流工程が中心です。開発規模が大きいため、実際のコーディングは協力会社に任せるケースが多くあります。
一方の中小SIerでは、上流から下流まで一貫して担当することが多く、エンジニアとしての業務範囲が異なります。
また、大手では分業制が進んでおり、専門領域に特化した働き方になる傾向があります。そのため、プロジェクト管理や顧客折衝の機会は増えますが、直接的な開発経験は減る可能性がある点は理解しておいた方が良いでしょう。
転職によって年収・待遇が下がる可能性がある
大手SIerに転職すれば、年収が確実にアップするわけではありません。特に中小SIerで高い役職についていた場合、大手では役職なしのスタートになることもあり、一時的に年収が下がる可能性があります。そのような場合でも将来実現したいキャリアパスや年収を目標に、スキルを磨いていくことが大切です。
また、大手企業では年功序列の色合いが強く、昇給スピードが中小企業より遅い場合があります。ただし、長期的には安定した昇給と充実した福利厚生により、トータルでの待遇改善に期待できます。
イメージとのギャップが生じる場合がある
実際に大手SIerへの転職をした方からは、「思っていたよりも年功序列の色が強かった」「最新技術に触れる機会が意外と少なかった」といった声が聞かれます。事前の情報収集を怠ると、こうしたギャップに直面し、後悔につながるため注意が必要です。
また、「意思決定プロセスが遅い」「社内手続きが複雑」といった大企業特有の課題もあります。中小企業のスピード感に慣れている場合、組織の動きの違いに戸惑うことも少なくありません。企業文化や実際の働き方について入念に確認しておきましょう。
大手SIerに転職するメリットとデメリット
メリット | デメリット |
・大規模プロジェクトに携われる機会が多い ・充実した研修制度や福利厚生 ・安定した経営基盤とブランド力 | ・組織が大きいため、意思決定に時間がかかる ・異動が多く、希望の部署に配属されない可能性もある ・細かい分業制のため、全体像が見えにくい場合がある |
メリット
- 大規模プロジェクトに携われる機会が多い
- 充実した研修制度や福利厚生
- 安定した経営基盤とブランド力
大手SIerに所属していると社会インフラを支える重要なシステム開発など、大規模プロジェクトに携われる機会が多くあります。
また、充実した研修制度や福利厚生により、継続的なスキルアップと安心した働き方が実現可能です。安定した経営基盤とブランド力によって、将来への不安も軽減でき、転職市場での評価向上にもつながります。
デメリット
- 組織が大きいため、意思決定に時間がかかる
- 異動が多く、希望の部署に配属されない可能性もある
- 細かい分業制のため、全体像が見えにくい場合がある
中小SIerと比べて大手は組織が大きいため、意思決定に時間がかかります。異動も多く、希望の部署に配属されない場合もあるでしょう。細かい分業制になるため全体像が見えにくく、個人の成果が評価に反映されにくい環境になっている可能性があります。
大手SIerへの転職を左右するポイント

技術レベル
大手SIerでは、大規模システムの設計・開発経験や、複数の技術領域にまたがる幅広い知識が評価される傾向にあります。そのため、特定のプログラミング言語やフレームワークに精通していることはもちろん、セキュリティやクラウド、AIなど、現在需要のある分野や将来性のある分野の専門知識や実務経験が大きな強みになります。
そのほか、基本情報技術者や応用情報技術者といった国家資格も転職で評価されるポイントの1つです。最新技術動向への関心と学習意欲もあわせて、自己PRとして活用しましょう。
業界経験値
大手SIerでは、その業務内容から金融や製造、公共など、特定の業界でのシステム開発経験が高く評価される傾向にあります。業界特有の業務知識や課題を理解していると、即戦力として期待されるでしょう。
また、大規模プロジェクトの計画立案や顧客折衝経験、チームリーダーの経験も評価されやすいため、アピールする要素として活用できます。さらに、複数の業界での経験があると、幅広い視点でシステム提案ができる人材としてアピールできます。
転職タイミング
大手SIerが求める人材は、その時々のプロジェクト状況によって変化します。転職する際は市場の動向を常に把握し、自分が評価されやすいタイミングを見極めるのも重要です。傾向としては年度始まりの4月と、下半期が始まる10月の前が狙い目となります。
また、大型プロジェクトの開始時期や、特定技術分野への投資拡大タイミングも絶好のタイミングです。経済情勢や企業の業績動向も影響するため、業界ニュースや求人動向を継続的にチェックしておきましょう。
大手SIerに転職するために今すぐやるべきこと

自分の強みと転職理由を明確にする
大手SIerに転職するにあたって、なぜ大手SIerに転職したいのか、自分のどんな強みが活かせるのかを紙に書き出していきましょう。「大規模プロジェクトを成功させた経験」や「顧客の課題を解決した経験」など、具体的なエピソードを交えて整理しておくと自己PRの際に活用しやすくなります。
また、転職理由は面接で必ず聞かれる重要な質問のため、ネガティブな理由をポジティブに変換しておくのも重要です。自分の価値観やキャリアビジョンも明確にし、志望企業との適合性をアピールできるようにしましょう。
評価される「スキル」と「経験」を洗い出す
SIerでの経験を振り返り、大手SIerで求められるスキルと経験を洗い出すのも重要です。これまでのキャリアから、「○○でプロジェクトマネジメントを経験」「○○年からチームマネジメントのスキル・経験を活かして従事」「○○にて上流工程を経験した」などの形で整理しておきましょう。
この際、自分がどのような役割を果たし、成果を出したかを具体的に言語化できていると、自己PRとして活用できます。数値や期間を交えた具体的な実績を加えて、より説得力を持たせましょう。
転職エージェントに相談して求人情報を集める
大手SIerは非公開求人も多いため、転職エージェントの利用は必須です。特に、大手SIerに強いエージェントに相談することで、質の高い求人情報や、企業が求める人物像に関する詳細な情報を得られる可能性が高くなります。
エージェントからは職務経歴書の添削や面接対策のアドバイスも受けられるため、選考通過率を上げたい際にも有用です。迷った場合は複数のエージェントに登録し、それぞれの得意分野や保有求人を比較検討してみましょう。
企業文化や働き方について情報収集する
転職エージェントやOB・OG訪問を通じて、応募を考えている企業の社風や働き方、実際のプロジェクト事例などを詳しくリサーチするのも大切です。口コミサイトや業界ニュース、企業の決算説明資料なども参考にして、多角的に情報を収集しましょう。
ホームページだけではわからないリアルな情報を得られると、ミスマッチを防ぐ効果にも期待できます。実際に働いている社員のインタビュー記事や、業界セミナーでの講演内容なども貴重な情報源として活用しましょう。
職務経歴書とポートフォリオを徹底的に磨き上げる
書類選考を突破するためには、職務経歴書が重要です。書き慣れていないと単なる経歴の羅列になってしまうため、書く際は「何を課題として、どのように解決し、どんな成果を出したか」をストーリー仕立てで書くようにしましょう。
具体的な数値や期間を交えて自分の貢献度を明確に示せると、より説得力を持たせられます。ポートフォリオがある場合は、視覚的に分かりやすく整理し、技術力をアピールできるよう工夫しましょう。
もし、職務経歴書やポートフォリオ以外にも不安がある方は、ITエンジニア専門のキッカケエージェントにご相談ください。キッカケエージェントでは、「転職でのミスマッチをゼロにする」をコンセプトに、ITエンジニアに特化したキャリアアドバイザーが技術力やキャリア、収入、ライフワークバランスなど様々な観点からアドバイスしております。
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大手SIerへの転職を失敗しないための転職エージェントの賢い使い方

大手SIerに強いエージェントを選ぶ
大前提として、すべてのエージェントが大手SIerの求人を豊富に持っているわけではありません。大手SIerやIT業界に特化したエージェントを選び、専門的なアドバイスや独自の非公開求人情報を得られるようにしましょう。
業界に精通したエージェントであれば、企業の内情や選考のポイント、求められる人物像についても詳しく教えてもらえます。過去の転職成功事例や失敗パターンも把握しているため、より具体的で実践的なアドバイスを受けられるでしょう。
複数のエージェントを使い分ける
複数のエージェントを利用するのも大切です。より多くの求人情報にアクセスでき、各エージェントの得意分野や強みを活かし、多角的な視点から転職活動を進められるようになります。
例えば、大手総合型エージェントは幅広い求人情報があり、IT特化型エージェントは専門性の高いアドバイスを提供してくれます。それぞれから異なる企業情報や選考対策を得られるため、転職活動の成功率を高められるでしょう。
ただし、同じ企業に複数のエージェント経由で応募しないよう注意が必要です。
思い立ったらすぐに相談する
転職を考え始めたら、早めにエージェントに相談しましょう。すぐに動けなくとも、市場の動向や自分の市場価値について情報収集をするだけでも、キャリアプランを考えるうえで大きな助けになります。良い求人が出た際にすぐに対応できるよう、事前に職務経歴書の準備や面接対策も進めておきましょう。
転職はリスクがありますが、転職活動はノーリスクです。転職活動には時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで進め、焦らずに最適な選択をできるようにしましょう。
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中小・中堅SIerから大手SIerへの転職は、適切な準備と戦略があれば十分実現可能です。2025年現在の転職市場では、技術力だけでなくプロジェクト管理能力やコミュニケーション力も高く評価される傾向にあり、中小SIerでの経験も大きな武器となります。
大手SIerへの転職は、決して無理なことではありません。今回の記事を参考に、転職エージェントを活用しながら、年齢や経験に応じた最適なタイミングで行動しましょう。
参考記事
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