「SIerの働き方に限界を感じている」
「もっと技術力を伸ばせる環境で働きたい」
長時間労働や客先常駐、下流工程中心の業務に疲れを感じているSIerエンジニアの中には、こうした悩みを持っている方は少なくありません。一方で、転職に関して不安を抱き、現状維持を続けている方もいることでしょう。
そこで今回は、「SIerからのおすすめ転職先」を紹介します。「転職成功のポイント」や「失敗しないための注意点」も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
SIerからの転職が多い6つの理由

ワークライフバランスを改善したい
SIerからの転職理由として最も多いのが、ワークライフバランスの改善です。多くのSIerでは、納期に追われる激務やクライアントの急な要求変更により、長時間労働が常態化しています。企業によっては休日出勤もあり、プライベートの時間が確保できないという声は少なくありません。
こうした働き方に疲れを感じ、趣味や家族との時間を確保するためや、より健全なワークライフバランスを求めて転職を検討し始めます。
下流工程の業務が多い
SIerでは、要件定義や設計といった上流工程ではなく、テスト作業やバグ修正といった下流工程の業務が中心となることが多々あります。特に若手エンジニアは、単調な作業を延々と繰り返すことになり、技術力の向上やキャリアアップを実感しにくい状況に陥りがちです。
プログラミングスキルを磨く機会も限られ、新しい技術に触れる機会も少ないため、将来のキャリアに不安を感じる方は少なくありません。結果、より創造的で技術的にやりがいのある仕事を求めて転職を決意します。
給与や待遇に不満がある
SIerの多重下請け構造により、実際の開発を担当するエンジニアの給与は抑えられがちです。案件の利益が何層もの会社を経由することで、実際に手を動かすエンジニアに還元される報酬は少なくなってしまいます。労働時間や業務の責任に見合った給与を得られていない形です。
また、年功序列の色合いが強い企業も多く、実力や成果が評価されにくい面もあります。このような経済的な不満から、より高い報酬を求めて転職する人が増えています。
仕事にやりがいがない
SIerでは、クライアントの既存システムの保守・運用や、決められた仕様通りの開発が中心です。創造性を発揮する機会が限られ、新しいアイデアを提案したり、革新的な技術を導入したりする機会も少なく、毎日同じような作業の繰り返しになりがちです。
エンドユーザーとの距離も遠く、自分の作ったシステムがどのように使われているかを実感しにくい環境でもあります。そのため、より達成感ややりがいを感じられる仕事を求めて転職を検討する方も多くいます。
多重下請け構造に不満がある
SIer業界特有の多重下請け構造により、実際の開発現場には十分な予算や時間が配分されないケースがあります。この構造により、品質の高いシステムを作りたくても、予算や納期の制約で妥協せざるを得ない状況が生まれます。
また、クライアントとの距離が遠いため責任の所在が曖昧になりやすく、問題が発生した際の対応が複雑になる場合もあります。より直接的にクライアントと関わり、質の高いシステム開発に集中できる環境を求めて転職を検討します。
客先常駐の働き方に不満がある
SIerエンジニアの中には、クライアント企業に常駐して働く方がいます。このような働き方の場合、プロジェクトが終了するたびに勤務地が変わり、新しい環境に適応しなければいけません。しかし、クライアント企業の社員ではないため疎外感を感じることもあり、職場での人間関係構築が難しい面があります。
さらに、クライアント企業の就業規則に従う必要があり、自社への帰属意識も薄れがちです。こうした不安定で孤独感を感じやすい働き方に疲れ、より安定した環境を求めて転職を始めます。
SIerからの転職先でおすすめの職種7選

最大手SIer・元請けSIerへの転職
現在の職場環境に不満がある場合、最大手SIerや元請けSIerへ転職する方法があります。同じSIerとして転職するため、無理なく仕事がしやすい点がメリットです。大手SIerであれば給与水準や福利厚生が充実していることも多く、上流工程に携わる機会も増えます。
さらに、PLやPMの経験を積んでいると、場合によっては200万円以上の年収アップも可能です。二次請けの立ち位置から最大手へと転職する方が多いのは、こうした理由も関係しています。SIerでの経験を最大限活かせる選択肢です。
なお、大手SIerへの転職は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Web系エンジニア(自社開発企業)への転職
自社でWebサービスやアプリケーションを開発している企業への転職も、おすすめの選択肢です。主な転職先としては、自社開発企業やメガベンチャー企業が該当します。
自社開発企業では、企画から開発、運用まで一貫して携わることができ、エンドユーザーの反応を直接感じられます。最新技術の導入に積極的な企業も多いため、技術力向上の機会も豊富です。
一方で、toCサービス企業では年収がそれほど高くない傾向があるため、toBサービス企業を狙うと良いでしょう。ただし、技術スキルを高めに求められる点には注意が必要です。
なお、Web系企業への転職は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
プロジェクトマネージャー(非IT事業会社)への転職
SIerでの経験を活かして、一般企業のIT部門でプロジェクトマネージャーとして働く道もあります。社内システムの企画・導入・運用を担当し、ビジネス側とIT側の橋渡し役として活躍できます。使用する技術スタックが変わらないため、メガベンチャーや自社開発企業と比べると、転職しやすいでしょう。
また、非IT事業会社が内製化を進めている場合、SIerで培ったPMのスキルが高く評価される傾向にあります。これまでの業務でPL・PMの経験がある方には、転職先としておすすめの業種です。
社内SEへの転職
企業の情報システム部門で働く社内SEも、SIerエンジニアの転職先としておすすめの業種の1つです。社内SEは、自社の業務システムの企画・開発・運用・保守を担当し、社員が効率的に働けるIT環境を整備します。SIerで培った技術的な経験を活かしながら、より安定した環境で働けるのが魅力です。
また、残業時間が比較的少なく、有給休暇も取得しやすい環境が多いため、ワークライフバランスの改善を求める人には魅力的な職種になります。
ITコンサルタントへの転職
SIerでの技術的な経験を活かして、ITコンサルタントとして企業の課題解決に携わる道もあります。ITコンサルタントは、クライアント企業の業務課題を分析し、ITを活用した解決策を提案・実行します。技術的な知識に加えて、ビジネスへの理解や提案力が求められる高度な職種です。
また、同じクライアントワークなため、SIerから転職をする場合、内定が出やすい職種でもあります。大手SIerの経験がなくても、転職はしやすいでしょう。
なお、SIerからITコンサルタントへの転職は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ確認してください。
プリセールス / セールスエンジニア(IT営業職)への転職
技術的な知識を活かして営業活動をサポートするプリセールスやセールスエンジニアという選択肢もあります。この職種では、営業担当者と連携して顧客の技術的な課題を理解し、自社製品・サービスを活用した解決策を提案します。
SIerでの経験により顧客の立場に立った提案ができるため、高い成果を上げやすいでしょう。また、営業成績に応じたインセンティブがある企業も多く、努力次第で高年収を実現できます。
顧客のニーズを深く理解し、的確な提案をしなければいけないため、営業力やコミュニケーション能力に自信のある方におすすめです。
フリーランスエンジニアとして独立
SIerでの経験とスキルを活かして、フリーランスエンジニアとして独立する道もあります。フリーランスでは、自分のスキルと経験に応じて案件を選択でき、働く時間や場所の自由度も高くなります。スキルと実績次第では、会社員時代よりも大幅な年収アップも期待できるでしょう。
一方で、スキルの切り売りになりやすく、フリーランスから企業に再就職するのは難しい側面もあります。何も考えずフリーランスになると、その後のキャリアが狭まる可能性があるため、正社員として経験を積んでから35歳以降で独立を考えた方が良いでしょう。
SIerからの転職を成功させる5つのポイント

現在の働き方での不満点を明確にする
転職を成功させるためには、まず今の働き方で感じている不満を明確にするところから始めましょう。この際、紙に書き出すと頭の中や気持ちを整理しやすいのでおすすめです。
長時間労働や給与、人間関係、仕事内容など不満点は人それぞれですが、リストアップしておくと転職先に求める条件を見える化できます。不満点とセットで改善したい具体的なポイントまで整理しておくと、転職活動の方向性も見えて来るでしょう。
SIerでの経験やスキルを棚卸する
転職活動では、SIerとしての経験を過小評価せず、これまで身につけたスキルや経験を客観的に棚卸しすることが重要です。以下の要素をリストアップしましょう。
- どのような役割を担ったか
- どのような技術を使ったか
- どのような成果を出したのか
こうした経験を棚卸していくと、顧客折衷能力やプロジェクト管理能力など、SIerで培った強みを客観的に評価できます。自己PRやポートフォリオなど様々な場面で活用していけます。
転職先に求める条件を明確にする
転職活動を始める前に、転職先に求める条件を明確にしておくのも重要です。以下の要素を中心に、自分にとって重要だと思うものに優先順位をつけていきましょう。
- 給与水準
- 勤務地
- 働き方の柔軟性
- 企業文化
- 技術環境
- 事業内容
- 技術スタック
ただし、すべての条件を満たす企業を見つけることは非常に難しいため、妥協できる点と絶対に譲れない点を明確にわけておいてください。
また、短期的な条件だけでなく、5年後、10年後のキャリアプランも考慮して条件を設定すると、入社後のミスマッチを防ぐ効果にも期待できます。
SIer以外の働き方や業界について調べる
SIer以外の働き方について積極的に情報収集するのも、選択肢を増やすうえで重要です。Web系企業やコンサルティングファーム、事業会社のIT部門など、それぞれの業界の特徴や働き方を理解しておきましょう。業界研究を通じて、自分の価値観やキャリア目標に合った選択肢を見つけられるようになります。
また、各業界で求められるスキルや経験も把握し、必要に応じて事前に学習や準備をしておくと、転職先の選択肢を広げることにも繋がります。
転職市場の現状を把握する
転職を成功させるためには、現在の転職市場の動向を正確に把握しておくのも重要です。希望する職種や業界の求人状況、求められるスキル、平均年収などを調査し、自分のスキルや経験が試乗でどの程度評価されるのかを理解しておきましょう。転職計画を立てやすくなります。
調べる方法は、転職サイトの求人情報や転職エージェントからの情報、業界レポートなどがおすすめです。客観的な市場データを収集しておくと、年収交渉や条件交渉もしやすくなります。転職タイミングの判断材料としても活用できるでしょう。
SIerからの転職で失敗しないための6つのポイント

転職活動を焦らない
転職活動では、焦りは禁物です。現在の職場環境に不満があっても、勢いだけで転職先を決めてしまうと、入社後に後悔する可能性があります。転職活動には一般的に3~6ヶ月程度の期間が必要であると理解し、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
また、内定をもらったからといってすぐに決断せず、条件面だけでなく長期的なキャリアプランとの整合性も考慮するのも大切です。複数の選択肢をじっくりと検討し、納得のいく形で転職をするようにしましょう。
なお、転職の全体的な流れとスケジュールに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、転職活動を進める際の参考にしてみてください。
SIerでの経験を過大評価しない
SIerでの経験は貴重ですが、転職先の企業が求めるスキルセットと完全に一致するとは限りません。自分の経験やスキルを客観視し、転職先で求められる能力との差を正しく認識しておくのが転職を失敗しないポイントの1つです。
そのためにも、自分の強みを理解し、不足しているスキルがあれば積極的に学ぶ姿勢を意識しましょう。誰しも自分の経験を過大評価しがちです。客観的な視点で経験を見るように心がけてください。
転職希望先の企業文化や働き方を事前にリサーチしておく
転職後のミスマッチを防ぐために、志望企業の企業文化や働き方について徹底的にリサーチしておくのも大切です。特に事業会社やWeb系企業では、SIerとは企業文化や開発体制、働くスピード感などが大きく異なります。
企業のWebサイトや採用ページ、社員のSNS投稿、口コミサイトなどを活用して、実際の働き方や社内の雰囲気を把握しましょう。詳細に調べておくほど、入社後のミスマッチを防げます。集めた情報は応募書類を作成する際や面接時など、様々な場面で活用できます。
現職の退職理由をポジティブに伝える
面接では必ず退職理由について質問されます。その場合、ネガティブな理由をポジティブに変換して伝える準備をしておきましょう。例えば、以下のような形です。
ネガティブな表現 | ポジティブな表現 |
残業が多い | より効率的に働き成果を出せる環境で力を発揮したい |
給与が低い | 自分のスキルと貢献に見合った評価を受けられる環境で働きたい |
仕事にやりがいがない | お客さまへの貢献を実感できる仕事がしたい |
上司や先輩と合わなかった | 協調性を重視したい |
重要なのは、現職への不満を述べるのではなく、転職によって実現したい目標や成長への意欲を示すことです。面接官に良い印象を与え、採用の可能性を高められます。
将来の目標やキャリアを考える
転職は単なる職場の変更ではなく、キャリア形成において重要な節目です。そのため5年後、10年後にどのようなエンジニアになりたいか、どのようなスキルを身につけたいかを明確にしておきましょう。
技術的なスペシャリストを目指すのか、マネジメント職に挑戦したいのか、独立を視野に入れているのかなど、将来のビジョンを持つことで転職先選びの軸が定まります。
面接時にもキャリアプランについて質問されることが多いため、一貫した回答ができるよう準備しておきましょう。明確な目標があれば、転職活動の軸がブレず、後悔のない選択に繋がります。
転職エージェントを利用する
転職活動を効率的に進めるために、転職エージェントの活用を検討しましょう。特におすすめなのが、SIerからの転職に特化したエージェントや、各業界に詳しいキャリアアドバイザーです。
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SIerからの転職は、適切な準備と戦略があれば成功するのも夢ではありません。現在の働き方への不満を明確にし、自分のスキルと経験を正しく評価したうえで、将来のキャリアビジョンに合った転職先を選ぶようにしましょう。
そのためにも転職市場の動向を把握し、焦らずじっくりと時間をかけて活動することが大切です。SIerでの経験を武器に、より良い環境で充実したキャリアを歩めるよう希望に沿った転職先を見つけていきましょう。
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