「自社開発に興味があるけど、SESからの転職は難しい?」
「SESから自社開発企業に転職できた事例はある?」
SESは商流が深いと、切り出されたタスクしか割り当てられずキャリアを築けなかったり、なかなか年収アップが実現できなかったりと悩みがちです。結果的に企画から開発、運用まで幅広い経験を積めて、年収も高い自社開発企業に転職しようと考えるエンジニアが多々見られます。SESから自社開発企業への転職は可能ですが、難易度が高いため、入念な対策が必要です。
この記事では、SESから自社開発企業への転職をするにあたって必要な対策や、自社開発企業の選び方についてまとめています。キッカケエージェントでは企業選びの方法や面接対策、書類の添削などをサポートしているので、自社開発企業への転職を考えている方はあわせてご相談ください。
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求人数が少なく倍率は高い
自社開発企業は求人が少なく倍率が高いため、転職難易度は高いです。採用倍率は2~3%で、人によっては40~50社応募しても内定が出ないケースもあります。
特にWeb系の自社開発企業は、昨今における市場環境の変化により、採用基準が厳しくなっています。狭き門を通過するためには、技術を身につけるだけでなくコミュニケーション能力やマネジメント経験など、業務をスムーズに遂行する力も必要です。
即戦力志向で求められるスキル水準が高い
自社開発企業は、単に技術があるだけだと内定獲得が困難です。高い水準の技術があることは大前提として、以下のスキルや要素も求められます。
- 主体性や積極性
- シンプルかつ明確なコミュニケーションスキル
- 企業や事業、プロダクトへの具体的な興味関心
自社開発企業では、自社製品を開発したり改善したりして市場で売り上げる必要があります。したがって、与えられたタスクをこなすだけでなく、プロダクトの課題を自ら発見し、改善提案を行う能力が求められます。また、製品企画会議などで発言するときは流れを止めず、結論ファーストで分かりやすく話せる能力も重要です。5W2Hで具体的に説明することを心がけましょう。
自社開発企業では、面接で取り扱う製品やサービスへの興味関心も問われます。単に「プロダクトが面白い」だけでなく、競合と比較してなぜその企業に魅力を感じるのか、プロダクトの課題に対しどのように貢献できるかを具体的に伝える必要があります。
SESと自社開発企業の違い
| SES | 自社開発 | |
| ビジネスモデル | 多重下請けとマージン構造 | 特定のプロダクトやサービスを自社で実施 |
| 得られる経験 | 切り出されたタスクの深堀 | ・プロダクトの要件定義や技術選定などの上流工程 ・リーダーやマネジメントの経験 |
| 働き方 | フルリモート勤務は難しい | リモートワークの比率が高い |
| 年収 | ・商流が深い:400~500万円 ・商流が浅い:500~1,000万円以上 | 500~800万円 |
| 評価基準 | 経験年数や年齢 | 技術力、事業やサービスに対する興味関心、解決能力、コミュニケーション能力などを総合的に評価 |
ビジネスモデル
SESと自社開発企業では、ビジネスモデルが根本的に異なります。そしてビジネスモデルの違いが、エンジニアとしての働き方や得られる経験にも大きく影響します。
まず、SESのビジネスモデルは多重下請けとマージン構造です。顧客企業からシステム開発業務を直接受けるのではなく、元請けSIerや、さらに二次請け、三次請けから業務を受ける多重下請け構造の中で案件に参画するケースがほとんどです。商流が深くなるほど間に挟まる企業が増えマージンが取られるため、エンジニアの年収が低いままで停滞しやすい傾向があります。
一方で自社開発企業は、特定のプロダクトやサービスを自社で企画から開発、運用まで行い、直接ユーザーへの価値提供を目指します。そのため、開発した機能に対するユーザーからのフィードバックを迅速に得られ、意見を基に改善を重ねる「リリースサイクルが速い」開発体制が整っているケースは多いです。
得られる経験
SESの商流が深い案件では、要件定義や基本設計などの上流工程、運用まで一貫した経験を積むのが難しい傾向です。多くの場合、すでに切り出されたタスクをこなす業務が中心となります。特に三次受け以降の案件が多いSESでは、リーダーやマネジメントの経験も積みにくいです。ただし、商流の浅い案件であれば、4〜5名程度の現場リーダーや基本設計からの経験を積むチャンスは十分にあります。
自社開発企業の場合、プロダクト全体に対する要件定義や技術選定など上流工程から深く関わる機会が多いです。また、アジャイル開発やスクラム開発を前提としている場合が多く、開発後の運用状況やユーザーからの反応を直接見届けられます。自社開発企業では、技術力はもちろん、自分から課題を見つけて解決する能力や、シンプルで分かりやすいコミュニケーション能力も求められます。
働き方
働き方について、SESの場合フルリモート勤務の人材採用は難しいです。しかし、元請けとしてシステムインテグレーションが可能な企業であれば、地方在住者でもフルリモート勤務の案件を獲得できる場合があります。
自社開発企業では上場している会社や一定のユーザー数がいるSaaS企業などでは、リモートワークの比率が高い傾向です。
年収
年収についてSESの場合、商流の深い案件が多いと年収が停滞しやすい傾向です。一方で、エンド直請けの案件が多いSES企業は、年収レンジが500万円~1000万円以上と高く、自社開発企業と変わらないレベルになることもあります。年間10%以上の昇給が見込まれる企業も存在します。
自社開発企業の年収レンジは、一般的に500万円~800万円です。非IT系の事業会社でも、大手メガベンチャーと同程度か、それ以上の年収を提示するケースが増えています。
評価基準
評価基準について、SESは経験年数や年齢でスキルが評価されやすい側面もあり、高いスキルを持っていても経験年数が浅いと適切な評価が得られないケースもあります。
自社開発企業は技術力を含めた、事業やサービスに対する興味関心、自ら課題を見つけて解決する能力、コミュニケーション能力などが総合的に評価されます。
SES企業から自社開発企業へ転職するメリット

年収の向上および安定化
SESから自社開発企業への転職は一般的に年収の向上が見込めます。特に商流が深いSESの場合、平均年収は400~500万円で、自社開発企業への転職で100万円以上の年収アップが可能です。
ただし、SESからSESへの転職でも転職先がエンド直請けのSESであれば、自社開発企業と遜色ないか、それ以上の高年収を実現できます。したがって年収を上げる場合、SESからの脱出だけが正解ではありません。
キャリア形成
- 一つのサービスに長期間深く関わる
- 主体性と積極性が求められる
- 技術選定へ関与できる
- レベルの高いエンジニアと協業
自社開発企業では、SESで困難とされるシステム全体の要件定義から運用まで一貫して携わる経験が可能です。結果的に、プロダクトの成長を直接見届け、ユーザーからのフィードバックを得られるため成長や達成感につながります。
自社開発企業では、プロジェクトの課題を自ら見つけて改善提案を行うなど、能動的な行動が求められるので主体性も身につきます。自社開発企業なら上流工程から携わることで技術選定の経験を積んだり、技術レベルの高いエンジニアと協業し自身の技術力を高めたりしやすい環境が整っている場合も多いです。
働き方の自由度向上
自社開発企業の多くは、リモートワークの比率が高い傾向にあります。働き方の自由度が高い理由は、優秀なエンジニアを獲得、維持するためです。同様の理由で、自社開発企業はSESに比べて残業や土日出勤も少ない傾向です。
ただし、「エンド直請けのSES」も自社開発企業と同様に働き方の自由度が高いケースもあります。働き方の自由度向上だけであれば、SESで商流の浅い企業へ転職する選択肢も考えられます。。
SES企業から自社開発企業への転職の流れ

不足している技術の習得
- 開発言語
- クラウド技術
- 上流工程とマネジメント経験
開発言語
自社開発企業で開発を担当するなら、開発言語を扱える必要があります。JavaScriptやTypeScriptは、視覚的なフィードバックが得やすくモチベーション維持につながるため、最初の学習言語としておすすめです。
JavaもBtoCサービスの大規模開発に利用されています。Javaの経験が長くリーダー経験もあれば、有名Web系企業への転職も可能です。
クラウド技術
自社開発企業のインフラエンジニアを目指す場合、AWSをはじめとするクラウド関係のプロフェッショナルレベルの資格が求められる傾向にあります。一方で、Azureは積極的に学びたい人が少ないため、基礎的な資格でも設計や構築に携われるチャンスが広がる可能性はあります。
上流工程とマネジメント経験
詳細設計以降の業務経験しかない場合、将来的にAIに代替されるリスクがあるため、基本設計や要件定義など上流工程、そしてリーダーやマネジメントの経験が重要です。
SESでも、企業を選べば上流工程やマネジメントの経験を積めます。
ポートフォリオや技術の棚卸し
自社開発企業に応募する前に、自身のポートフォリオや技術を棚卸し、強みを洗い出しましょう。自身の強みを把握できれば、企業選びの軸ができたり面接で自信を持って答えられたりします。職務経歴書を書く場合、単に技術を羅列するのではなく、「なぜそのアクションを取ったのか」「どのような課題に対し、どのように貢献したのか」を具体的に示す必要があります。
プロジェクトで困難だったことや、それを乗り越えるために工夫した点など、自身の思考プロセスと貢献度を明確に言語化できるよう、経験を棚卸ししておきましょう。また、SESのスキルシートは転職活動には不向きなので、自社開発企業向けにカスタマイズした履歴書や職務経歴書が必須です。
非公開求人やポテンシャル枠を活用する
自社開発企業は募集枠が少なく人気もあるため、一般的な応募での内定獲得は非常に困難です。少しでも書類通過率や内定獲得率を上げるため、以下の枠を活用しましょう。
- 非公開求人
- ポテンシャル枠
非公開求人
大手企業や優良企業では、SNSなどでは見つけにくい「コンフィデンシャル枠」と呼ばれる非公開求人が多く存在します。非公開求人は、企業が採用コストをかけずに優秀な人材を確保したい、または緊急で採用したい場合に発生します。
非公開求人は、企業の役員や社長と直接つながりを持つ転職エージェントを通じて得られるケースが一般的です。
ポテンシャル枠
ポテンシャル枠は、経験2~3年程度のジュニア層や、キャリアチェンジ希望者向けの採用枠です。特に年度初め(4月~6月頃)は、大手のコンサルティングファームや自社開発企業で、募集されることがあります。
ポテンシャル枠は早い者勝ちとなる傾向が強いため、情報収集をしつつ日頃から準備しておく必要があります。キッカケエージェントでは、非公開求人やポテンシャル枠の情報も多数保有しているので、有利に自社開発企業への転職活動を進めたい方はご相談ください。
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自社開発企業の面接では、技術的な知識だけでなく、「あなたが入社して、当社の事業やプロダクトにどう貢献してくれるのか」などの視点が重視されます。したがって、以下の点に注意して話すようにしましょう。
- 「利他のマインド」で話す
- 「なぜ」を深掘りする
- 企業や事業およびプロダクトへの興味関心を示す
- 伝わりやすさを意識する
「利他のマインド」で話す
自社開発企業では、「自分のスキルアップがしたい」「リモートワークで柔軟に働きたい」などの自分本位の回答はNGです。
自社開発企業ではサービスやプロダクトがすべてです。「お客様にとって」「事業やサービスにとって」「自社の組織にとって」などの主語で、いかに貢献できるかを具体的に話しましょう。
「なぜ」を深掘りする
自社開発企業ではサービスやプロダクトに対し、主体的に考える能力が求められます。SES時代における自身の行動や技術選定の理由を明確に説明できるよう準備しましょう。
「お客様が決めたから」「上司が決めたから」などの回答は、主体性がないと見なされ一発で不採用となる可能性があります。
企業や事業およびプロダクトへの興味関心を示す
自社開発企業では、中長期的にサービスに関わる前提で採用しているため、企業そのものや事業、プロダクトに興味があり長く在籍してくれるエンジニアは好まれます。志望する企業の事業やプロダクトの具体的な課題を挙げ、それに対して自身がどのように改善提案し、貢献できるかを具体的に述べましょう。競合との比較を交えると、より説得力が増します。
「入社後1年、4~5年後に、御社のプロダクトに対してこういう課題に対してこういう貢献をしていきたい」など具体的なビジョンを示すのも効果的です。
伝わりやすさを意識する
自社開発企業ではコミュニケーションスキルも重要視されます。結論ファーストで分かりやすく、簡潔に話す練習をしましょう。
面接の話が長くなると、コミュニケーション能力が低いと判断されるリスクがあります。だらだらと話すのではなく、端的に要所をまとめて伝えるべきです。
自社開発企業の選び方

企業の開発実績や開発環境
長期間働くなら、開発実績がしっかりしており将来性のあるところや、開発環境が整っていてストレスフリーに働ける場所を選びましょう。Web系の自社開発企業ではReactやNext.js、TypeScriptなどの現代的な技術が使われるところであれば最新技術のキャッチアップも早く、最新のスキルを学べます。JavaやC#、PHPなどの言語でも、BtoCサービスや大規模プロジェクトを手掛ける企業であれば、高年収を狙えます。
また、プロジェクトの規模が大きい企業では、リーダーやマネジメント、要件定義から携わる機会が得られやすいです。単に古い開発環境だからと避けるのではなく、基本設計や現場リーダー経験が積めるかを確認しましょう。自社開発企業では企業によって幅広い業務を担当させてもらえる機会もあります。バックエンドからフロントエンド、インフラ領域への拡張など、キャリアの幅を広げられる機会があるか、あわせて確認しましょう。
社風と働き方
経営層や従業員のITリテラシーが高い企業は、新しい技術への投資や開発文化への理解が深く、働きやすい傾向です。また、「半年ごとや1年ごとにどのような経験を積ませ、2~3年後にどのようにキャリアアップさせてくれるのか」など、具体的なロードマップを提示してくれる企業は従業員のことを考えており安心できます。あわせて、企業選びでは他のエンジニアの技術力も重要です。一緒に働くエンジニアのレベルが高い環境では、学びが多く、自身の成長につながります。
逆に「社長や役員が長時間労働を好む」「お客様のITリテラシーが低い」「一緒に働くエンジニアのレベルが低い」「小規模や短納期案件ばかり手掛ける」などの企業は残業が多くなりがちで、避けるべきです。また、「仕事が簡単すぎる」「新規開発やリプレース経験が積めない」などの「ゆるブラック企業」も将来的にスキルが陳腐化するリスクもあるため候補から外しましょう。
開発企業における社内SEの場合、開発業務の範囲や社内でのIT部門の立ち位置、適切な人員配置がされているかなどを確認しましょう。IT部門が低く見られている企業も経験が積めなかったり正当な評価を得られなかったりするため、避けるべきです。
将来性
売上や利益の伸び率、SaaSであればチャーンレート(解約率)、資金調達の状況などを確認し、事業が継続的に成長しているかを事前に見極めましょう。また、IT業界ではM&Aが活発で、所属企業が買収されたり事業部が売却されたりする可能性もゼロではありません。
必要なときスムーズに転職できるだけの市場価値の高いスキルや経験を身につけるべきです。システム全体の要件定義を主導できるレベルなど60歳、65歳になってもエンジニアとして活躍できるスキルを積めるか、中長期的な視点でキャリアを考えましょう。
まとめ
SESから自社開発企業への転職は、エンジニアにとって大きなキャリアアップのチャンスになります。しかし、転職を成功させるには、企業の特性と現在の市場動向を深く理解し、戦略的な準備と企業選びが不可欠です。
自分がどのようなことに情熱を燃やせるのか、どんな仕事を楽しいと感じ、夢中になれるのかを見つけることが、キャリア選択の最も重要な判断基準です。また、あなたの現在の状況によっても最適なキャリアパスは異なります。まずは自身の市場価値を知るためにも、キャリアの相談を検討しましょう。
キッカケエージェントでは、企業の内部事情を深く把握し、役員や社長クラスとの独自のパイプも保有しています。一般には出回らない優良な非公開求人やポテンシャル枠もご紹介できるので、転職の成功確率が高まります。あなたのスキルレベルに応じた企業の提案や面接対策、年収交渉など、多岐にわたるサポートも可能です。自社開発企業への転職を考えている方はご相談ください。
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