SIerやSESのシステムエンジニアからWebエンジニアへの転職はハードルが高いものの、決して不可能ではありません。レガシー環境からモダンな技術へと、使用言語や開発手法は異なりますが、システムエンジニアとしての経験が全く通用しないわけでもないのです。
この記事ではSIerとWeb系企業の間にあるリアルなギャップを明らかにし、なぜハードルが高いのか、そして乗り越えるにはどのような対策が必要なのかをまとめました。身につけるべきスキル、そして今までの経験を武器にするためのポイントや、面接対策など、Webエンジニアへの転職を成功させるための戦略を解説していきます。
【結論】システムエンジニアからWebエンジニアへの転職は可能だが難易度は高い

【可能な理由】IT人材不足により意欲とポテンシャルがあれば転職機会は存在する
エンジニア採用バブルが弾け、未経験でのWebエンジニア転職が困難になってきているため、システムエンジニアからWebエンジニアへの転職難易度は高いといえます。しかし、決して不可能ではありません。
転職市場全体ではエンジニアが不足しているため、一定のプログラミング基礎があれば、20代~30代前半のポテンシャルを評価して採用する自社開発企業も存在するからです。高い意欲と正しい努力をすれば、転職の機会は存在するでしょう。
【難易度が高い理由1】開発手法やスピード感が大きく異なるため
SIerは依然としてきっちりとしたウォーターフォール開発の比率が高いですが、Web系では小規模でスピード感のあるアジャイル開発が主流です。リリースやコストに対する意識に大きなギャップがあるので、SIerでウォーターフォール型開発の案件だけに携わってきたエンジニアにとっては、業務の進め方がWeb系企業では通用しない場面があります。
| ウォーターフォール | アジャイル | |
| 要件 | 最初に要件定義 | 開発中に変化 |
| 仕様書 | 詳細な文書化 | 最低限 |
| リリース | 段階的に工程を完了し最後にリリースする | 短期間でリリースを繰り返す |
| コスト | 開発前に固定 | 開発中に変動しやすい |
【難易度が高い理由2】扱う技術が異なり「大幅な年収ダウン」を招きやすいため
システムエンジニアが主に携わる業務系・基幹系システムとWeb系では、扱うプログラミング言語や技術スタックが異なるので、年収ダウンを招きやすいという実態があります。
業務系は主にJavaやC#などが主流ですが、Web系ではRubyやGoなどを扱うため、これまでの言語経験がそのまま活かせず、「未経験扱い」として年収が100万〜150万円ほど下がるケースも多いです。
【難易度が高い理由3】詳細設計以降の経験だけでは、Web系で必須となる「自走力」が評価されにくい
アジャイル開発が主流のWeb系では、エンジニアは担当スプリント内で上流~下流工程まで全て担うことが多いため、詳細設計以降の下流工程メインで仕様書通りに作るだけの経験では評価されにくいでしょう。
自ら課題を発見し技術的解決策を提案する主体性(自走力)が厳しく問われるので、指示通りに動くだけのスタンスではWeb系企業からの内定を獲得するのは難しいのが事実です。
システムエンジニアとWebエンジニアの決定的な違い

開発手法と進め方の違い
SIer・SES企業に属するシステムエンジニアは、ウォーターフォール開発主体のため、最初に顧客が出した要件通りにシステムを設計し、構築していきます。概要設計以降リリースまで、あまり顧客が開発プロセスに関わることはありません。
対して、Web系のアジャイル開発では、開発プロセス全般において顧客と密に連携し、ユーザーの反応を見ながら改修を繰り返していきます。PR(プルリクエスト)の活用でプロジェクト進行中のコード変更も迅速に行われ、ウォーターフォールとはスピード感が異なります。
求められる役割の違い
SIer・SESでは、プロジェクトの進捗管理や協力会社の管理統括といったマネジメント・調整能力が重視されやすいのに対し、Web系では自ら課題を発見しコードに実装して解決する、プレイング能力が重視される傾向にあります。
問題解決力、マネジメントスキルに加え、単に指示を出すだけでなく、自ら柔軟かつスピーディーに動くことが求められます。
キャリアパスの違い
SIer・SESではPM(プロジェクトマネージャー)やITコンサルタントへのキャリアアップが王道ですが、Web系では専門性に特化した多様なキャリアが広がっています。
PMやWebディレクターといったマネジメント職はもちろん、技術を極めるテックリード、プロダクトを統括するPdM(プロダクトマネージャー)、インフラも担うSREなどへ進む道も選べるでしょう。
システムエンジニアが抱えるリアルな危機感

レガシー環境で技術力が伸びない不安
当記事の監修者であるIT菩薩モローが、Xで「SIerからWeb系に行く人は最近かなり減っている」という内容のツイートをしたところ反響が大きく、90万を超えるインプレッション(2026年5月時点)を獲得しました。多くのエンジニアがSIer・SESの構造的課題に不安を抱え、Web系への転職を視野に入れていることの現れといえるでしょう。
SIerは既存大手顧客のシステムの保守運用が大きな収益源となっているため、一部を除くと依然として古い技術スタックでのレガシー環境の現場が多く、モダンな技術に触れられないのが現状です。それにより、エンジニアが自身の市場価値低下に危機感を抱くのは当然といえます。
マネジメント偏重でコードが書けなくなる焦り
IT業界の多重請負構造の性質上、SIerはどうしても下請け企業やベンダーを管理してプロジェクトを進めていく立場に置かれています。そのためキャリアを進めるほどPMやPLといった管理業務、マネジメント業務が中心になっていきます。
まだまだプレイヤーとして手を動かし続け技術を磨きたいエンジニアにとっては、不満と焦りを感じてしまうでしょう。
システムエンジニアからWebエンジニアへの転職:3つの壁

Web系で求められる自走力
近年Web系企業では採用基準が上がっており、未経験者が転職するハードルがかなり高くなっています。理由としては、スタートアップ、SaaS企業などが以前ほど資金を潤沢に調達できず、未経験者に対し手取り足取り教えて育てる余裕がなくなっているからです。
そのため、指示待ちではなく、自ら課題を発見して解決する自走力がある人材が求められています。
アジャイルなど開発手法への適応
Webエンジニアの開発文化は、SIerやSESのシステムエンジニアが経験している大規模開発に対し、システム開発の進め方やスピード感が根本的に異なります。
機能要件が不変で詳細設計書通りに実装していくSIerの文化に対し、Web系では要件が開発中も変わりやすいことが特徴です。たとえば同じGitHubの活用でも、Web系ではPR(プルリクエスト)を使い、次のリリースに向けたブランチと呼ばれる開発ラインをスピーディーに実装・レビュー・統合していく手法となっており、そのスピード感に対する適応が求められます。
一時的な年収ダウンのリスク
モダン技術の経験が少なく、レガシー環境のスキル・経験しかない場合、Web系ではジュニア〜ミドルクラスとして扱われ、年収が大幅に下がるケースがあります。
ただし、2~3年でモダン技術を身につけ、経験を積むことができれば将来的には年収が上がっていき、回収することは可能でしょう。それを見据えたうえで、転職時に一時的な年収ダウンを受け入れることができるかどうか判断が必要です。
Webエンジニアの必須スキル4選
モダン言語とフレームワークの理解
現在Web系でトレンドとなっている、 RubyやPHP、Goなどの主流な言語に関しては、単に構文を書けるだけでなく、代表的なフレームワークの思想も押さえておくことが必須です。
| 言語 | 代表的フレームワーク | 特徴 |
| Ruby | Ruby on Rails | MVCアーキテクチャの採用でスピード感のある開発が可能 |
| PHP | Laravel | シンプルで拡張性が高い。MVCだけでなくDDDアーキテクチャを採用することも可能 |
| Go | Gin | 軽量で高速。API開発に向いている。DDDアーキテクチャを採用することで保守性向上 |
なぜこれらのフレームワークが採用されているかも理解しておきましょう。
AWSなどのクラウド経験とコンテナ技術
近年のWeb系ではインフラとアプリの境界が曖昧になりつつあります。Webエンジニアにとっても、アプリケーション開発スキルだけでなく、急速に浸透しているクラウド基盤やコンテナ環境を前提とした知識が避けて通れません。
AWSなどのクラウド環境の基礎や、Dockerを用いた環境構築のスキルが評価されるでしょう。
テストコードとCI/CDの知識
Webアプリケーションの品質担保の手段は、Excelのテスト仕様書から自動テストへと移行しています。RSpecなどのフレームワークを用いたテストコードの実装経験が重要視されるでしょう。
また、GitHub Actionsに代表される、コードの変更をトリガーとしてテストやビルド、リリースまでの工程を自動化するCI/CDパイプラインの概念も必須の知識です。
Web系企業で高く評価される意外なアピールポイント4選

1.属人化を防ぐ「ドキュメント作成力」
システムエンジニアとして経験することが多い設計書や仕様書の作成経験は、Web開発においても仕様の明確化、属人化の排除を解決するうえで大いに役立ちます。
Web系企業はスピード重視でドキュメントの整備が疎かになりがちなので、誰が見ても分かる設計書・仕様書を書ける能力は組織において大きな価値を持つでしょう。
2. ビジネスサイドとの「調整・折衝力」
顧客との交渉やベンダーコントロールで培った、コミュニケーション能力や調整・折衝力は、プロダクトマネジメントに直結する強力な武器になります。
予算や納期の調整、要件のすり合わせを行った経験は、Web系の営業やマーケティング担当と連携して機能開発を進める上でも大いに役立つスキルです。
3. 大規模システム運用で培った「障害対応力」
止めることが許されない大規模基幹システムなど、障害やミスに対するプレッシャーが大きい環境で培われた経験は、Web開発においてもサービスの信頼性・可用性向上といったSRE的な品質向上に活かせるでしょう。
堅牢なシステム運用を実現してきたテスト設計や、論理的なトラブルシューティング、障害対応の経験が、Web系サービスの安定稼働に貢献できる強みになります。
4. 5W2Hで語れる「定量的な課題解決ストーリー」
このようにSIer・SESの経験でもアピールできる点はありますが、それらを採用担当者に伝わるようにどう文書化するかが重要です。
ポイントは、開発環境や担当工程の羅列ではなく、5W2H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって・いくらで解決したか)を具体的な数字(定量的成果)で記述することです。案件参画用のスキルシートの流用はやめて、自身の貢献度が伝わるオリジナルの職務経歴書を作成しましょう。
面接で即お見送りになるNG回答パターン3選

1. スキルアップ目的のテイカー思考
企業は学校ではないため、単に「新しい技術を身につけたい」という自身の成長だけを目的とした志望動機は評価されません。テイカー思考から利他のマインドへと切り替え、「その技術を使って事業にどう貢献したいか」を語る必要があります。
2. 環境を他責にする発言
転職の理由を問われた際に、現状の不満をそのまま面接で伝えるのは避けましょう。「レガシーだから」など環境のせいにする発言は他責思考と見なされ、通過が難しくなります。
レガシー環境で活躍できなかったのは自らの責任と謙虚に捉えたうえで、自身のスキルでWebエンジニアとしてどのように事業貢献できるかを述べるなど、自ら課題を解決する前向きな動機に変換するのがポイントです。
3. 結論ファーストで答えられない
面接の質問に対して簡潔に答えられず、背景から長々と話してしまうのはNGです。エンジニアであってもビジネスレベルの論理的な対話力が求められるため、必ずアンサーファーストで、まず結論から答えることが重要です。
一人でのWeb系転職に不安を感じたら?キッカケエージェントが選ばれる理由

求人票にはない裏基準の見極め
Web系求人の中には、SIer/SES出身者を高く評価する企業と、Web系企業出身者のみを好む企業が明確に分かれて存在していますが、個人でそれを見極めるのは困難なので、転職エージェントを頼るのが得策です。
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ITエンジニア転職のプロに
今すぐ無料で相談するまとめ
Web系企業への転職は採用基準が上がってきておりハードルは高いですが、構造を理解し戦略を立てて臨めば不可能ではありません。異なる開発文化への適応や年収ダウンのリスクを受け入れたうえで、Webエンジニアに必要なスキルを学習しSIerで培った下積み経験を適切にアピールすることで、成功する可能性は上がるでしょう。
自分に最適な会社選びや効果的な選考対策には、エージェントからの情報収集が有力です。キッカケエージェントでは無料のキャリア相談も実施していますので、ぜひ以下のリンクからお問合せください。
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