この記事ではQAエンジニアがやめとけ、きついと言われる理由について、仕事の特徴や現場での実態などから考察していきます。そもそもどんな仕事なのか知られていないという面もありますが、実はQAエンジニアは需要も高く、将来的なステップアップや年収アップも見込める職種です。詳しく解説しますので、転職に興味がある方は参考にしてみてください。
QAエンジニアの役割とは?
QAエンジニアは品質保証の専門家
QAエンジニアとは、システム開発、ソフトウェア開発において品質保証(QA=Quality Assurance)に責任を持つエンジニアのことです。
テストの計画から実行に携わり、システムが要件を満たし不具合なく動くかどうか確認します。また、ユーザー目線から品質の監視、改善に携わる役割も持ちます。
QAエンジニアとテストエンジニア(テスター)の違いとは?
QAエンジニアはテストのマネジメントを担当
QAエンジニアはテストエンジニア(テスター)と混同されることもありますが、以下のような違いがあります。
| テスター | テスト設計書に従ってテストを行う |
| QAエンジニア | テスターに指示を出し、テストのマネジメントを行う |
テスターはテスト工程のみに関わり、テストを実行してバグを検出する作業に特化します。いっぽうQAエンジニアは、テスターに指示を出しテストのマネジメントを担います。開発工程全般に関わり、テストの全体計画や方法を策定し、テストの自動化にも取り組みます。
QAエンジニアはなぜ「やめとけ、きつい」と言われるのか?

ルーティンワークが多い
プログラムにおけるテストケースの実装は同じ処理の反復が多いためメリハリがなく、精神的にきついといわれることがあります。ルーティンワークが苦手な人にとって単調な作業の繰り返しは集中力が続かず、きついかもしれません。また、複雑なテストケースの場合ではより細かく神経を使うことになり、これも精神的なストレスが溜まります。
残業が多め
納期が決まっているシステム開発では、プロジェクトの進行状況によって業務が多忙になりがちです。QAエンジニアの業務も例外ではなく、スケジュールがタイトになってくると短時間でかなりの量のタスク完了を要求され、残業が多く発生する可能性があります。テストフェーズは開発工程の後半に行われることが多いので、遅れがしわ寄せされる可能性も高いです。
将来のキャリアプランが見えにくい
QAエンジニアは特定の分野のスキルがつけにくく、キャリアアップの道筋が曖昧で、将来的に限界といわれることがあります。そもそも他の職種に比べてネット上にも情報が少なく、QAエンジニアがどのような学習をしてスキルアップしていくか、現場でどのようなスキルを身につけられるか等が見えにくいという点があげられます。
QAエンジニアの平均年収と求人倍率は?

QAエンジニアの平均年収は481万円と標準的
レバテック株式会社が、同社で保有する求人データをもとに2025年1月時点で調査した統計によると、QAエンジニアの平均年収は481万円でした。これは業界平均の504万円と比べるとやや低いですが、データの中にはテスターに近い求人も少なからず含まれているようです。QAエンジニアに絞ってみるともう少し高いことが予想されるので、標準的といって差し支えないでしょう。
QAエンジニアは求められる仕事内容によって年収レンジに幅があるのが特徴で、たとえばテストの自動化ができることが条件の求人であれば、年収は600万円を上回るといわれています。
QAエンジニアの求人倍率は高い
同じくレバテックによる2024年の「ITエンジニア・クリエイター スキル・職種別求人倍率」を参照して求人倍率をみてみましょう。QAエンジニアという項目はありませんでしたが、テスト設計・テスト実行エンジニアの倍率は9倍でした。この数値を見る限り、売り手市場で倍率が高いといえます。
QAエンジニアは実際きつい?現場の実態

仕事内容が幅広くクリエイティブな面もある
テスターと違い、QAエンジニアはテストの実行以外も幅広く担当するので、単純作業だけではありません。自動化の導入など、テストの計画から実装のマネジメントは、SEと同等のやりがいがあるといえます。
アジャイル、スクラムで開発フェーズから関わることで、色々な技術に触れる機会もあり、意外とチャレンジングでクリエイティブな面も多い仕事です。
一概に残業が多いとはいえない
大規模プロジェクトで単純なテスターとしてのタスクが多い場合は、確かに残業に悩まされるかもしれませんが、それは現場単位の話なので、一概にQAエンジニアが忙しいとはいえません。テストの自動化やチームコミュニケーションの円滑化で時短、効率化できるケースもあるでしょう。
また、開発エンジニアに比べると技術トレンドの移り変わりがゆっくりなので、夜や土日に勉強しなくてもついていけるという点で、ワークライフバランスが保てる一面もあります。
キャリアアップ年収アップも充分可能
単なるテスター扱いではなく、自動化などのスキルを養える現場で経験を積めれば、QAエンジニアも充分キャリアアップの道が開ける職種です。テスト自動化ができるQAエンジニアは需要が高く、年収も高い傾向があります。
2~3年でメガベンチャーや有名企業に転職することも夢ではなく、開発エンジニアよりもキャリアアップが近道な場合もあります。
QAエンジニアはいらないのか?将来性と今後の需要

QAエンジニアの重要度は増している
テスト工程は開発エンジニアが担当すればよく、わざわざ専門のQAエンジニアをアサインする必要はないのでは?という考えはひと昔前のもので、現在のシステム開発においてはQAエンジニアは不可欠で重要な存在になっています。
理由として、ソフトウェア開発における品質が重視されるようになったことや、アジャイル、スクラムといった開発工程の進化に伴ってテスト回数が増加したことがあげられます。
QAエンジニアの将来性や需要は高い
QAエンジニアは近年需要が拡大している一方、他の職種に比べるとエンジニアの母数が少ないのが特徴です。テスターではない純粋なQAエンジニアというのは転職市場でも希少な存在であり、企業が満足に採用できていない現状があります。
今後、開発における品質保証の重要性がますます高まることが予想できるので、QAエンジニアの将来性は高いでしょう。また、システムの新規開発が止まったとしても、既存システムの改修案件は続くので一定の需要はあり、不景気にも強い職種でもあります。
QAエンジニアに向いている人と向いていない人
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向いている人の特徴
コミュニケーション力が高い人
QAエンジニアはただ一人で黙々と作業をするだけではなく、他部門との調整、顧客からのフィードバックなど、周囲と連携して仕事を進めていく職種です。特に開発チームとは密なやり取りと情報のキャッチアップが必要になるため、積極的にコミュニケーションを取っていける人が向いています。ただ黙ってテストを反復すればよいというスタンスでは難しいでしょう。
細かく丁寧な性格の人
品質管理の基本は、細部まで見落とさずチェックすることです。細部に気が配れ、漏れなくバグを発見できる能力が求められるので、慎重で注意深い人、細かく丁寧な性格の人は向いています。
性格の問題だけでなく、日ごろから丁寧な仕事を心掛けるという姿勢も重要なので、QAエンジニアを目指す人は、たとえばコードレビューの依頼前に自分のコードをセルフチェックしてみるなどの習慣付けも有効です。
向いていない人
速いサイクルで新しい技術を吸収したい人
フロントエンドの開発エンジニアなどと比べると、QAエンジニア業界はトレンドになっている技術がここ7~10年間あまり変わっていないという特徴があります。
なので、新しい技術をなるべく速くキャッチアップするのが好きなタイプのエンジニアにとっては物足りないかもしれません。技術にこだわりがある人であれば、QAエンジニアよりもPG・SEの方が向いているといえます。
受動的な人
QAエンジニアには積極的なコミュニケーション力が求められるので、能動的に行動できないと務まりません。
不具合があった部分の修正状況や、テスターの作業の進捗など、待ちの姿勢ではなく自ら積極的に情報を収集したり、発信することが求められます。指示を受けてタスクを淡々とこなしたいというマインドの人は向かないでしょう。
QAエンジニアの次に広がるキャリアパスは?

大手企業やメガベンチャーを狙う
スキルを持ったQAエンジニアは需要が高く、かつ希少性も高いため、開発エンジニアよりも大手企業やメガベンチャーに採用される確率は高いといえます。
アジャイルやスクラムに開発工程から参画した経験、テストの設計や自動化の導入経験など、市場価値が高い経験とスキルを積めれば、有名企業への転職も夢ではないでしょう。QA部門の立ち上げに関われるチャンスもあるかもしれません。
QAの道で上流を目指す
QAの専門性を高めていくキャリアアップの例として、QA専門のコンサルティング会社へ転職するという道筋もあります。IT企業所属のQAエンジニアに比べ、より上流工程にフォーカスした仕事内容になり、品質管理工程の課題解決や運用改善などを担当します。
また、事業会社でQAとアナリティクス(データ分析)も兼ね備えたエンジニアとして活躍するという道もあります。
QAにこだわらずPL・PMへ飛躍
QAエンジニアにこだわらなければ、PLやPM職にキャリアチェンジするのもオススメです。QAエンジニアは上流~下流工程までシステム全体のことを把握、理解でき、さらに開発にも関わる職種のため、PLやPMの前段階として適したキャリアパスといえます。
PL、PMは大変な部分もありますが平均年収も需要も高いので、チャレンジしてみる価値はあります。
QAエンジニアへのキャリアチェンジを成功させるには?

開発経験+テスト自動化経験
QAエンジニアにコーディングスキルは絶対に必要なのかというと、そのようなことはありません。しかし、テスト自動化の絡みから、開発経験がありコードを書くことに抵抗がないというレベルは求められるといえるでしょう。
開発経験に加え、さらにテスト自動化の経験を1年程度積めたらベストです。PGやSEの人は自分の今の現場で、積極的にテストの自動化に手を挙げていきましょう。アジャイル、スクラムの経験も有効です。
資格の取得
QAエンジニア関連の資格はいくつかあるので、取得しておくと転職にも有利になります。
代表的な資格
- JSTQB認定テスト技術者資格
- JCSQEソフトウェア品質技術者資格認定
- IT検証技術者認定試験(IVEC)
それぞれカバーする領域や難易度が異なりますが、まず何か受験するのであれば、認知度が高く世界的に知られているJSTQBがオススメです。
企業の見極め
求人のなかには、「QAエンジニア募集」と書いておけば応募者が集まるだろうと考えている企業もあるので、注意が必要です。
QAエンジニアの仕事ができると誘われたが、実際は単純なテストの反復だけやらされた、という羽目にならないように、QAエンジニアとしての経験が積める企業を見極めることが重要でしょう。
専門家に相談するのがベスト
QAエンジニアの優良求人を見極めて転職を成功させるためには、転職エージェントへ相談するのがベストといえます。専門家からキャリアのアドバイスをもらうことができ、求人の紹介、面接のサポートも受けることが可能です。
キッカケエージェントでは、エンジニアに特化した専門コンサルタントが親身に転職をサポートしますので、お気軽にご相談ください。
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QAエンジニアという職種は仕事の特徴があまり知られておらず、テスターとも混同されがちのため、単純作業で残業が多い、将来性も乏しい、といったネガティブなイメージが付いてしまっています。ところが実はQAエンジニアの仕事内容はマネジメントに関わるもので、テスト自動化などキャリアアップできるスキルも身につくので、将来性も高いです。今後のキャリアの選択肢に入れる価値は十分にあるでしょう。
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