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PMOはなぜやめとけと言われる?仕事の特徴や将来性についても解説

PMOはなぜやめとけと言われる?仕事の特徴や将来性についても解説

2025.10.27

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大規模プロジェクトにおいて必要不可欠なポジションであるPMOですが、「やめとけ」「きつい」「大変」といった声も聞かれます。しかし、その理由を明確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?

本記事ではPMOがなぜやめとけと言われるのか、仕事の特徴や年収、将来性といった視点から解説し、PMOのやりがいや、キャリアチェンジのポイントについても紹介していきます。

PMOの役割とは?

PMOはプロジェクトの支援役

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とはPM(プロジェクトマネージャー)を補佐し、プロジェクトの進行を支援して成功へと導く役割を担います

具体的な担当タスクとしては、プロジェクトの品質管理、標準化、課題改善、進捗状況の把握、関係各所の調整など多岐に渡り、プロジェクト成功のための支援全般を実行する存在です。

とりわけ、複数のプロジェクトが同時進行しているケースや、プロジェクトが大規模なケースにおいて、PMOの重要性が高まるとされます。

PMOとPMの違いとは?

PMOはPMをサポートする役目

立場業務内容
PMプロジェクトの責任者プロジェクト管理意思決定、課題解決
PMOPM補佐プロジェクト管理の支援意思決定、課題解決の支援

PMはプロジェクトの管理に責任を持ち、プロジェクトを成功に導くためのリーダーです。QCDといわれる、品質(Q)、コスト(C)、納期(D)を達成するためのマネジメント業務を行うほか、様々な状況や要素を考慮し、方針や課題解決の意思決定を下します。

いっぽうPMOは、PMが1人でカバーしきれない部分を補い、PMが適切な方針判断や意思決定を行えるようにサポートします。 プロジェクトを俯瞰し、課題や問題点などを指摘したり、標準化のためのルールを策定したりして、PMと二人三脚でプロジェクトを成功に向けて導くポジションです。

PMOはなぜ「やめとけ」と言われるのか?

PMOはなぜ「やめとけ」と言われるのか?

調整業務が多くストレスが大きい

大規模プロジェクトでは、クライアント企業はもちろん、外部ベンダーやスポンサー、取引先業者など、多くの組織と人が業務に関わります。このようなプロジェクト関係者のことをステークホルダーといいますが、PMOは多くのステークホルダーとコミュニケーションを取りながら、彼らの間に立ち、調整役となって仕事を進めていくことになるため、ストレスが大きいとされています

ステークホルダーは会社も役職も立場も様々なため、プロジェクトのために一丸となって全員がまとまるということは困難です。ときには人間関係の問題に巻き込まれることもあるかもしれません。そうした状況に対処し、プロジェクトの成功に繋げていくためには、相当タフなコミュニケーションが必要になるでしょう。

成果が見えにくく評価されづらい 

PMOはプロジェクトに間接的にかかわるため、エンジニアやPMと比べると可視化できる成果をあげにくいのが現実です

また、PMに比べるとPMOは認知度が低く、「あの人はいったい何をやってるのか」といわれ、存在意義すら揺らいでくるという事態も起こりかねないでしょう。

議事録取りやWBS作成、アシスタント業務がメインのPMOは淘汰されていく可能性が高く、今後生き残るには「PMが拾いきれない様々な課題を解決できる」「1億円以上のプロジェクトを1人で回せる」などPMに匹敵する成果をあげられるスキルが必要です。

業務範囲が広くて曖昧

PMOの業務は多岐に渡り、明確な範囲がありません。そのためプロジェクトに関わることだったら何でもやらされる「便利屋」になってしまいがちです。特にSESのPMOは現場によってやることがバラバラで、ときにはSEやPGが担当すべきような作業を手伝わされることもあります。

PMOはPMをサポートする立場であるといっても、決して秘書や助手ではありません。しかし実際には、議事録作成やドキュメント整理などの庶務雑務ばかりやらされて、マネジメントスキルがつかないといった話もよく耳にします。業務の線引きをはっきりさせることが難しいというのもPMOのデメリットだといえます。

PMOの平均年収と求人倍率は?

PMOの平均年収と求人倍率は?

PMOの平均年収は530万円と高め

キッカケクリエイション経由の転職者を調査した結果によると、PMOの平均年収は530万で、エンジニア全体の平均504万円と比較して26万円高くなっています

また、全体の約1割が年収800万超という結果でした

PMOの求人倍率は高い

レバテックによる2024年の「ITエンジニア・クリエイター スキル・職種別求人倍率」によると、PMOの求人倍率は6.1倍で、前年同月比から5.3ポイントマイナスであるものの、倍率は高く、売り手市場であることがわかります。

背景としては、DX化の進展で企業のITプロジェクトが増えていることでPM職の不足が深刻化しており(同調査によるとPMの求人倍率は24.6倍)、それに伴ってPMOの需要も高くなっていることがあげられます。

PMOの仕事は本当にきつい?メリットはある?

PMOの仕事は本当にきつい?メリットはある?

複雑な調整を経た先に達成感がある

前述したように、PMOとしてステークホルダーの間に立ち、スムーズに調整を行っていくことは大変です。ただでさえお互いをよく知らない者同士がコミュニケーションを取る必要があることに加え、勤務形態の多様化も進み、リモートでプロジェクトに参加するメンバーもいるので、人間関係が一層まとまりづらい環境構造になっています。

しかし、その反面、困難な調整を乗り越えた末にプロジェクトを完了させたときの達成感もひとしおです。全員からは難しいにせよ、必ず信頼してくれる人、感謝してくれる人はいます。度重なる苦労やトラブルに粘り強く対処し成功をつかめば、かけがえのない体験が得られるでしょう

活躍が認知されれば頼られる存在になる

縁の下の力持ち、裏方としての側面が強いPMOは、普段は目立たず認知度が低かったり、ときには周囲から反発を受けたりすることもあります。

しかしPMOは裁量が大きく、プロジェクトの方針やルール策定に携わったり、不具合に対する解消手段を考えたりできる役割を持ちます。なので、問題解決能力を発揮して活躍し、周囲の認知と理解が進めば、一躍頼りにされる存在になれます。トラブルやボトルネックが発生しているなど、ピンチのときこそPMOとしての真骨頂を発揮でき、活躍できるチャンスといえます。

PM補佐としてマネジメント経験が積める

雑務や庶務ではなく、本来のPMO業務さえできれば、PM補佐としてマネジメントスキルが習得できます。計画立案、予算策定、進捗管理、ファシリテーションなどのプロジェクトマネジメント能力が身についていき、PMへ直結する経験と実績が積めるでしょう。

また、幅広いステークホルダーと関わるPMOは、エンジニアをやっていては接することのない顧問や役員、いわゆる高レイヤー層と接し、直接話ができるチャンスもあります。組織論や経営マインドを吸収でき、人脈を広げることも可能かもしれません。

PMOに向いている人と向いてない人

PMOに向いている人と向いてない人

向いている人の特徴

調整スキルが高い

コミュニケーション力はもちろんPMOに必須のスキルですが、とりわけ多方面の利害を考慮し、全体が納得できる落としどころへ誘導する調整スキルが求められます。

意見や要求を集約し、端的にどれかに加担するのではなく、全体を整理したうえでの冷静な状況判断ができる人は向いているでしょう。

トラブルシューティング能力が高い

PMOには、PMが一人で手が回らない品質や進捗に関する多岐にわたる課題を、専門知識(業界知識、開発技術)に基づき解決できる役割が求められます。そのため、高度なトラブルシューティング能力を持つ人は、PMの右腕として活躍が期待できるでしょう。

日常から意識して知識の引き出しを増やし、論理的思考力を磨き、仮説を立てて検証する習慣をつけておくことが大事といえます。

当事者意識が高い

PMOの仕事において、受け身の姿勢ではプロジェクトを成功に導くことができません。当事者意識を高く持ち、主体的に課題解決などに取り組むことが求められます。

自分のタスクのみへの関心だけでなく、他人のタスクやプロジェクト全体の進捗への関心を持つような人がPMOに向いているといえます。さらに、チーム全体を俯瞰でき、監督者の立場から物事を考えられるようになれば、よりPMOとして相応しい意識の持ち主になれるでしょう。

向いていない人の特徴

プレイヤータイプ

エンジニアとしての能力が高い=PMOも向いている、とはいえません。PMOは自分がパフォーマンスを発揮してプロジェクトを成功させる、という性質ではなく、どちらかというと、プロジェクトメンバーがパフォーマンスを発揮できるようにプロジェクトを最適化するという役割の仕事です。

仕事の遂行力が高くても、「自分でやった方が早い」「人には任せられない」というタイプの人はPMOには不向きでしょう。

情報の整理と言語化が苦手

PMOは様々な会議体に出席し、プロジェクトの現状や課題について発言するほか、議事録を取りまとめることも多いです。また、PMや役員に対し報告や説明、助言する機会も頻繁にあるでしょう。そのため、状況を分かりやすく言語化し相手に伝える力が必須といえます。

話がうまくまとめられない人、つい冗長になってしまう人は不向きです。また、メールやレポートでの文章作成スキルが低い人も厳しいでしょう。

PMOの将来性とキャリアパス

PMOの将来性とキャリアパス

PMOの将来性は高い

ITプロジェクトの複雑化に伴いPMOの需要は高く、今後もその傾向は続くと見込まれます。2018年、経済産業省の発表したDXレポートで「2025年の崖」という危機が叫ばれましたが、当時の課題は解消されているとはいえません。2025年を迎えた今、レガシーシステムの運用困難、IT人材不足の加速などの問題が本格的に進行していく恐れがあります。

今後しばらくはDXの流れも衰えず、システムのリプレースや顕在化したリスクに対処するプロジェクト需要が続くことが見込まれます。PMの深刻な人手不足もあり、プロジェクトにおいて失敗を避けるためPMOを活用しようという動きもあり、PMOの将来性も安泰といえそうです。

PMO経験の次に広がるキャリア例

PMや経営層への昇進

PMOからのキャリアアップとして最もスタンダードなのが、プロジェクトのトップを担うPMへの昇進です。PMOはPM補佐なので、間近でPMに必要なマネジメントスキルを習得できれば、スムーズにPMの役割もこなせるはずです。

現場でPM以上の存在はいないので、PMを経験した後のキャリアとなると、自社で部長クラスへの昇進になるのが一般的です。その後、CIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)といった経営層、役員へ昇格することがゴールといえます。

コンサルティング・ファームへの転職

IT企業を抜けて、より幅広く戦略的な業務を担うコンサルティング・ファームに転職することで、年収アップが見込めます。IT系のコンサルティング・ファームの中にはPMOに特化した企業もあるので、経験を活かせるでしょう。英語力や、特定の業界に強い知識があれば、より転職の際に強みになります。

フリーランスとして独立

PMOは続けつつ、フリーランスとして独立することで、自分で案件を選べるようになり、年収も1000万以上を狙え、フルリモートの求人も多いです。その反面、仕事がなくなったときの保証がなく、仕事の獲得も自分次第というリスクがあります。

PMOへのキャリアチェンジを成功させるには?

PMOへのキャリアチェンジを成功させるには?

上流工程の経験を積む

PMOにとって最も必要なスキルであるマネジメント経験を積むことと、コミュニケーション力、調整力を鍛えるのがキャリアチェンジ成功を左右するといえるでしょう。

開発経験は必須ではありませんが、工数の見積ができるかどうかがポイントになるので、SEとして上流工程の企画段階から関われれば強みになります。

自己分析と目標の設定が大事

単に年収アップを目的とせず、なぜPMOになりたいのか?どんなPMOになりたいのか?という目標を設定しておくのが大事です。

転職活動全般にいえることですが、今までのスキルとキャリアの棚卸を実施し、アピールポイントも整理しておきます。自分がPMOに合っているかどうか、適性診断も受けておきましょう。

専門家に相談するのがベスト

PMOへのキャリアチェンジを考えているならば、転職エージェントへ相談するのがベストです。専門家からキャリアのアドバイスをもらうことができ、求人の紹介、面接のサポートも受けられるので、転職成功には不可欠といえるでしょう。

キッカケエージェントでは、求職者の希望を満たす求人を厳選して紹介し、個々人に寄り添った最適な転職サポートを実現します。エンジニア経験があり、最新の業界事情に精通するアドバイザーが多数在籍しており、的確なキャリアアドバイスを提供します。求職者の強みやスキルを最大限にアピールできる応募書類の作成や面接対策も手厚くフォローし、選考通過率を高めます。

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まとめ

PMOはプロジェクトで重要な役割を担うポジションながら、調整業務の大変さ、認知度の低さ、成果の見えにくさなどから「やめとけ」と言われることが多い職種です。しかし、様々なステークホルダーと関われることでメリットや達成感もあり、マネジメントスキルも身につきます。高年収も期待でき将来性も高いので、適性があり、やりがいが見いだせれば、充分キャリアチェンジしてみる価値はあるでしょう。

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IT菩薩モロー

この求人を監修した人

毛呂 淳一朗 「IT菩薩モロー」

YouTubeでITエンジニアの転職やキャリアに関する情報を発信するキャリア系インフルエンサー。YouTubeチャンネル登録者数は3.4万人(2025年4月時点)。

エンジニア採用担当としての経験も豊富で、企業が求める人材や視点も熟知。その経験を活かし、現在はITエンジニア特化のキャリア支援企業「キッカケエージェント」を立ち上げ、月間120人のITエンジニアと面談を行う。エンジニアのキャリア志向と企業課題の解決を両立する最適な人材紹介を提供。

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