「iOSエンジニアはやめておけ」
「iOSエンジニアの仕事がきつすぎて続かない」
iOSエンジニアはSwiftの頻繁な仕様変更への対応やAppleの厳しい審査基準に振り回されることも多いため、こうした声が出るのも仕方のない部分ではあります。
一方で、iOSエンジニアは実力で勝負でき、長期的な仕事の安定性があるといったメリットがあるのも事実です。
そこで今回は「iOSエンジニアがやめとけと言われても働くメリット」について解説します。「やめとけと言われる理由」や「きついと感じない人の特徴」も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
iOSエンジニアが「やめとけ」「きつい」と言われる理由

言語の汎用性がない
iOSエンジニアが使用する言語Swiftは、Apple製品の開発で最も輝く言語です。しかし、近年はその活用領域が広がっており、Vaporなどのフレームワークを使えば、サーバーサイド開発もできるようになっています。
ただし、Webフロントエンド開発やAndroidアプリ開発で直接Swiftを使うことがないため、転職時にSwiftの経験を活かせません。転職をする際は、新たな言語の習得が必要になります。
iOSエンジニアは、こうしたSwiftの特性によって、キャリアの選択肢が制限されています。
汎用性の高いスキルを習得できない
iOS開発で身に付く技術や知識は、基本的にAppleエコシステム内でのみ通用するため、市場価値の高いスキルを習得しにくい環境にあります。
例えば、XcodeやInterface Builder、Core Dataなどの専門知識は深い技術力を要求されますが、iOS開発以外では全く使用されません。一方で、サーバーサイド開発を主戦場とするエンジニアに比べれば、DockerやKubernetes、AWSといった汎用技術に触れる機会は、少ない傾向にあります。
とはいえ、API連携やCI/CDの構築などでそうした技術知識は必須となるため、自主的に学ばないと市場価値の高いスキルセットを取得しにくいという側面があります。
そのため、スキルを積極的に習得していないと、他分野への転職時には「実質的な実務経験ゼロ」と見なされ、キャリアチェンジが難しくなる可能性があります。
Swiftの仕様変更の対応がきつい
Swiftはアップデートによる仕様変更が頻繁にあり、既存コードの修正や新仕様への対応に膨大な時間を取られる言語です。
例えば、Swift3からSwift4、Swift5への移行では、コード全体の書き換えが必要となると、場合によっては数ヶ月の作業時間を要する可能性があります。さらに、SwiftUIの登場により既存のUIKit知識が部分的に使えず、新たな開発スタイルを習得しなければいけません。
こうした背景により、仕様変更があった際は技術習得の負担がかかります。
仕様変更が実務にも影響し負担が大きい
AppleのOS更新やAPI変更により、既存アプリが突然動作しなくなったり機能制限を受けたりするケースがあります。
例えばiOS14でのATT導入時には、広告収益に依存するアプリが軒並み影響を受け、緊急で対応する事態が発生しました。
こうした予期せぬ仕様変更は、Swiftを使うiOSエンジニアに大きな負担がかかります。やめとけと言われるのも納得できます。
英語の情報が多い
iOS開発では、最新技術情報や公式ドキュメントが英語で提供されることが多くあります。日本語情報が少ないため、英語が苦手な場合は情報収集や問題解決が難しくなってしまうでしょう。
例えば、Apple Developer Documentation、WWDC動画などの情報源は、ほとんどが英語です。また、エラー解決時にはサポートと英語でのやり取りが必須となるため、英語を使ったコミュニケーション能力も求められます。
そのため、純粋な開発スキル以外に英語力という負担がのしかかり、やめとけと言われるのです。
属人化しやすく転職しにくい
エンジニアの数が限られているため特定の人に技術が集中しやすく、属人化のリスクがあるのもiOSエンジニアの特徴です。転職市場でも求人数が他の技術領域より少ないため、いざ転職となっても難しい場合があります。
例えば、企業にiOSエンジニアが1~2名しかいない場合、属人化が発生しやすくなります。そうなると、その人がいなければプロジェクトが進まない状況が生まれ、転職を検討しても「今辞められると困る」と引き留められてしまいかねません。
結果、現在の職場環境に不満があっても転職に踏み切れない状況が続いてしまうのです。
Appleの審査やガイドラインに振り回される
iOSエンジニアには、App Storeの厳格な審査プロセスと頻繁なガイドライン変更によって開発計画が不安定になり、リリース予定が大幅に遅れるリスクが常にあります。
特に、審査で何度もリジェクトされ、理由が曖昧な「ガイドライン違反」として差し戻された場合は要注意です。突然のガイドライン変更により、昨日まで問題なかったアプリが今日は審査に通らないという理不尽な状況が平然と起こります。
こうした状況によって純粋な開発業務以外の負担が大幅に増加し、精神的なストレスも相当なものになります。
iOSエンジニアはやめとけと言われても働くメリット

実力で評価されやすい
iOS開発者は希少性が高く、技術力の差が成果物に明確に現れます。そのため、優秀なエンジニアは高く評価され、能力に応じた適切な待遇を受けやすい環境にあります。
特にアプリのパフォーマンスやUI/UXの完成度、コードの品質などはエンジニアのスキルレベルが直接反映されるため、エンジニアの開発力は一目瞭然です。
さらに、App Storeでの評価やダウンロード数といった客観的な成果指標もあり、自分の技術力を数値で証明できる環境が整っている点もメリットと言えます。
年収が高い傾向にある
iOSエンジニアの転職市場は需要が供給を上回っているため、一般的なエンジニアより高い年収が期待できます。経験を積むことで、さらなる収入向上に期待できるでしょう。
特に、大手IT企業やスタートアップでは、優秀なiOSエンジニア獲得のため高額オファーがある場合もあります。フリーランスとして独立しても、安定的な案件を獲得できれば年収アップも十分に可能です。
こうした点から見ても、iOSエンジニアはきつくても働くメリットが非常に大きいと言えます。
IoT機器と連携するiOSアプリが登場している
2025年現在において、スマートホームやウェアラブルデバイスなどとの連携アプリが急速に増加しており、iOS開発の活用領域が拡大し続けています。
例えば、スマート家電制御アプリやApple WatchのHealthKitを活用した健康管理アプリ、CarPlayに対応した車載アプリなどが代表格です。これらの開発ではBluetoothやWi-Fi、NFC通信など、ハードウェア寄りの知識を習得できます。
IoT分野の成長により、iOSエンジニアはより技術的で付加価値の高い存在になりつつあります。
Apple製品がなくならない限り需要がある
iOSエンジニアは、Apple製品に特化したエンジニアです。iPhoneやiPadなどのApple製品が市場に存在する限り、長期的な仕事の安定性が確保されています。
例えば2025年9月現在、全世界で30億台以上のiOSデバイスが使用されており、日本国内でもスマートフォン市場の約60%をiPhoneが占めています。
この巨大なユーザーベースに対してアプリやサービスを提供する企業は今後も増え続けるため、iOS開発者の需要が急激に減少するリスクは極めて低いと考えられます。
iOSエンジニアをきついと感じない人の特徴

Apple製品が好きな人
iPhoneやiPad、Macなどの製品が好きで、Appleのデザイン思想や技術に共感できる人は、iOSエンジニアに向いています。特に、Apple製品のデザインや操作性に魅力を感じる人にとって、アプリ開発は単なる仕事以上の楽しさを感じられるでしょう。
開発におけるモチベーション維持にも繋がるため、Apple製品が好きな人にはiOSエンジニアは非常におすすめです。
年収を安定させたい人
iOSエンジニアは、高い市場価値により安定した高収入を期待できる職種です。技術力を向上できれば、さらなる年収アップも夢ではありません。
本人の努力次第にはなりますが、20代後半で年収700万円、30代前半で年収1000万円以上も十分に可能です。転職市場での引く手あまたな状況が続いているため、現在の職場に不満があっても「いつでも転職できる」という安心感を持って働けます。
こうした点から見て、経済的な安定を重視する人にとって、iOSエンジニアは理想的なキャリアと言えます。
専門性を高めたい人
1つの技術領域を深く極めたい人にとっても、iOSエンジニアは向いています。iOS開発の専門性を追求していく中で、エキスパートとして高い評価を得られるようになるためです。
特にiOS開発は技術的な奥深さがあるとされ、SwiftUIやCombine、Core Dataなど習得すべき専門技術が豊富にあります。これらの技術を深く理解し、パフォーマンス最適化やアーキテクチャ設計に精通していくと、他のエンジニアでは代替困難な希少価値の高い人材になれます。
スマホアプリでキャリアを積みたい人
スマホアプリの開発に特化したキャリアを築きたい人にも、iOSエンジニアは向いています。世界最大級のアプリ市場であるApp Storeを対象とした開発経験は、キャリア形成において大きく役立つためです。
今やApp Storeの年間売上は、2024年で1.3兆ドルを超えています。この巨大なプラットフォームでの開発経験は、モバイル業界において実績として大きく機能します。モバイルファーストの現代において、価値の高いキャリアパスを築けるでしょう。
新しい技術を習得するのが苦にならない人
Appleの新技術や機能追加に対応するためも、iOSエンジニアには継続的な学習が必要です。そのため、新しい知識の習得を楽しめる人には、常に最先端技術に触れられる魅力的な環境となります。
例えば、毎年のWWDCで発表される新フレームワークは、iOSエンジニアなら他のプラットフォームより一足早く最新技術を体験できます。Vision Proのような革新的なハードウェアと連携する開発もでき、技術者としての知識の幅を大きく広げられます。
成長するのが大好きな人にとっては、非常に刺激的な仕事になるでしょう。
iOSエンジニアとして価値を上げるための必要なスキル

上流から下流まで対応できる実務経験とスキル
iOSエンジニアとしての価値を上げるには、プロジェクト全体を一貫して対応できる、以下のような能力を身に付ける必要があります。
- 要件定義
- UI/UX設計
- 実装
- テスト
- リリース
- 運用
例えば、単なるコーディング作業だけでなく、ビジネス要求の理解からApp Store最適化まで幅広くカバーできるエンジニアが該当します。このようなフルスタック的なスキルセットを持っていると、キャリアの選択肢も大幅に広がるでしょう。
Swiftの専門性を上げる
iOSエンジニアとして、Swiftの言語仕様を深く理解し、パフォーマンス最適化やメモリ管理、並行処理など高度な技術を習得していくのも差別化を図る面で重要です。
例えば、Swift ConcurrencyやCombineなどの機能を使いこなせると、市場でも価値を評価されやすくなります。その他、大規模アプリ開発で使用することの多いInstruments を使った詳細なパフォーマンス分析や、ARCの仕組みを理解したメモリリーク対策なども有効です。
転職時にアピールポイントとして活用できる専門性を獲得していきましょう。
Objective-CやKotlinなどの周辺言語を習得する
iOSエンジニアは、レガシーなiOSアプリのメンテナンスやAndroid開発への対応力を習得できていると、より幅広いプロジェクトに参画し経験を積めるようになります。
例えば現在、多くの企業で運用されている既存のiOSアプリはObjective-Cで開発されていますが、メンテナンスができるエンジニアは重宝される傾向にあります。さらにKotlinやFlutterなどを習得していれば、クロスプラットフォーム開発案件にも対応可能として年収アップが可能です。Swift以外の周辺言語にもなるべく触れるようにしましょう。
iOSエンジニアをやめたい状況から抜け出すキャリア戦略

より良い環境に転職する
現在の職場に課題がある場合は、最新技術を活用でき、適切な評価制度や働きやすい環境が整っている企業への転職を検討しましょう。
例えば、企業の中には、技術的成長とスキルアップに期待できるところも多くあります。労働環境を改善したい場合は、リモートワークやフレックスタイムなど多様な働き方を選択できる企業を選ぶのも良いでしょう。
iOSエンジニアの需要は高く、転職市場では有利な立場にあります。現状に不満がある場合は我慢し続けるよりも環境を変えるよう意識してみてください。
iOSの経験を活かして他の職種へキャリアチェンジする
モバイルアプリの開発経験を活かして、プロダクトマネージャーやテクニカルエバンジェリストといったキャリアを目指す方法もあります。
特に、技術的なバックグラウンドを持つプロダクトマネージャーは希少価値が高く、年収1000万円以上のポジションも狙えます。また、Apple製品の専門知識を活かしたテクニカルエバンジェリストとして、企業のモバイル戦略コンサルティングに従事するのも良いでしょう。
こうした職種ではコーディング作業から解放されつつ、これまでの技術経験を戦略的に活用できます。
フリーランスエンジニアとして独立する
iOSエンジニアの専門性と実務経験を活かして、フリーランスとして独立するキャリアもあります。高単価の案件を獲得できる実力があれば、収入向上と働き方の改善を同時に実現できるでしょう。
特に、3年以上のiOS開発経験があれば、安定収入も可能です。SwiftUIやARKit、機械学習系の開発経験があると、より収入をアップさせられるでしょう。
ただし、事務作業や営業なども自分でしなければいけないため、エンジニアとしての業務以外の仕事が増える点には注意が必要です。
転職エージェントに相談する
キャリアに迷っている人は、IT業界専門の転職エージェントに相談する方法もおすすめです。現在のスキルレベルの客観的評価や市場価値の把握、最適な転職先などの相談をしながら、理想のキャリアを選択できるようになります。
さらに、転職エージェントでは面接対策や年収交渉もサポートしてくれるところもあるため、個人では難しい条件アップも可能です。ひとりでの転職活動が上手くいくかどうか不安な人は、1度相談してみましょう。
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iOSエンジニアは「やめとけ」と言われる理由が存在する一方で、その需要の高さから充実したキャリアを築きやすい職種です。
確かに、Swiftの汎用性の低さや頻繁な仕様変更、英語情報への依存など、多くの課題はあります。しかし、高年収になりやすかったり、Apple製品の安定した需要があったりと、他職種では得難いメリットも豊富に存在します。
今回紹介した内容を参考に、iOSエンジニアとしてどのようなキャリアを歩みたいのか検討してみてください。
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