本記事では、セキュリティエンジニアのキャリアパスについて解説します。ニーズが急増し求人倍率も高まっているセキュリティエンジニアですが、他の職種同様、目指すべき方向性が定まらなければ、スキルや年収の停滞を招きかねません。
実際企業側はどのようなスキルや役割を求めているのか、また、監視・運用要員から上位職種を目指すためにはどのようなロードマップを辿ればよいのか、年収アップのコツや必要な資格を紹介していきますので、現役のエンジニアはもちろん、セキュリティエンジニアへの転職に興味がある方も参考にしていただければと思います。
セキュリティエンジニアのキャリアパスが注目されている2つの理由

①サイバー脅威の高度化に伴い「セキュリティ人材」の需要が急騰しているため
セキュリティ人材の需要が高まっている理由としては、サイバー攻撃の増大と巧妙化があげられます。大規模ランサムウェア攻撃を受けた企業が業務の停止に追い込まれるなど、セキュリティインシデントは今や企業の経営を揺るがす重大なリスクです。
DXを下支えするためにもセキュリティの強化は喫緊の課題となっており、高度なセキュリティ技術の実装や上流設計、コンサルティングができる人材の確保が急務になっているため、セキュリティエンジニアの需要が急騰しているというわけです。
こうしたニーズの高まりは、開発やインフラのエンジニアにとって、セキュリティ技術を学ぶことで年収アップを狙えるチャンスといえるでしょう。
②AIに代替されにくい「人間ならではの判断力」が評価されるため
AIは、言語化された定型作業であればパフォーマンスを発揮するため、パターンに応じた振る舞いの異常検出や、脅威の予知といった日々の運用監視作業であればAIに代替可能かもしれません。
しかし、たとえば実際のサイバー攻撃においては、想定外の操作や意外な経路からの侵入といった、既存パターンを超えた複雑な事象が発生します。また、組織としてのセキュリティ推進といった非定型業務もAIには困難です。
AIが代替できる仕事:学習データに依存した定型作業
- 監視とログの一次振り分け
- パターンに基づく脆弱性チェック、脅威や異常の検知
- セキュリティレポートの生成
人間ならではの専門性が必要な仕事:正解がない領域、非定型作業
- ビジネスを考慮したポリシーの策定や意思決定
- 未知のサイバー攻撃への対処(ゼロデイ攻撃など)
- システム構造を理解したセキュリティ設計
- AIの活用・チューニング
このように、ノウハウが定まっておらず正解が存在しない、人間ならではの専門性が必要な仕事もまだまだ多いため、セキュリティエンジニアが必要とされ、そのキャリアパスに注目が集まっています。
セキュリティエンジニアにおすすめのキャリアパス4選

さらに高度な技術力を追求する「セキュリティスペシャリスト」
| 業務内容 | 脆弱性診断、ペネトレーションテストの実施 最新マルウェアの解析 インシデント発生時の判断と対応 |
| 年収相場 | 約500~800万円 ※厚生労働省の調査や民間の求人動向記事に基づいて算出した目安 |
攻撃者視点の検証や脅威分析など、セキュリティ対策を技術面からリードし、サイバー攻撃に対し最前線で防御する存在です。
最新のマルウェア解析やペネトレーションテストなど、特定の技術領域に特化した職人肌のポジションになります。
システム全体を俯瞰して安全な基盤を作る「セキュリティアーキテクト」
| 業務内容 | システムのセキュリティ要件定義全社的セキュリティ基盤の設計、構築 |
| 年収相場 | 約600~1000万円 ※厚生労働省の調査や民間の求人動向記事に基づいて算出した目安 |
個別システムのセキュリティにとどまらず、全社的なセキュリティポリシーの構築に携わり、企業のセキュリティ基盤の設計を牽引するポジションです。
マルチクラウド環境におけるゼロトラスト設計やIAM管理など、要件定義の段階から安全性を高めるためのセキュリティ構成を組み込みます。
経営課題をセキュリティの観点から解決する「セキュリティコンサルタント」
| 業務内容 | 企業のセキュリティの現状把握、分析、課題の洗い出しセキュリティ戦略の立案セキュリティ強化に向けた取り組みの支援、最適化 |
| 年収相場 | 約700~1000万円 ※民間の求人動向記事に基づいて算出した目安 |
企業のセキュリティ課題を解決し、情報資産を守るためのセキュリティ戦略を提案、支援する、専門性の高いコンサルタントです。
リスクアセスメントや全社的なポリシー策定、投資提案など、経営層とも連携し、技術とビジネスの橋渡しを行う役割になります。
組織のセキュリティ戦略を統括する「最高情報セキュリティ責任者(CISO)」
| 業務内容 | 情報セキュリティポリシー、機密管理規程の発行 重大インシデント発生時の指揮 セキュリティ監査の統括 セキュリティ予算管理、経営層へのレポート |
| 年収相場 | 約1000万~1500万円 ※民間の求人動向記事に基づいて算出した目安 |
情報資産の保護を使命とし、組織全体のセキュリティの責任者としてリーダーシップを発揮する存在です。
近いポジションとしてCIOがありますが、CIOが情報システム全体の責任者なのに対し、CISOは情報セキュリティに特化した責任者です。サイバー攻撃の脅威増大に伴いCIOとは別にCISOを設置する企業が増えてきています。
転職市場で高く評価されるセキュリティエンジニアのコアスキル4選

クラウド移行・ゼロトラストを見据えた「アーキテクチャ設計スキル」
インフラの基盤がクラウドにシフトしている昨今では、従来の境界型防御に代わって、ゼロトラストの考え方を取り入れた防御が不可欠です。そのため、単体の製品導入やスポットレベルの保護ではなく、クラウド環境に適応した統合的なリソース保護を実現するセキュリティアーキテクチャを設計できるスキルが求められています。
AWS/Azure環境でのセキュリティ設計や、全リソースを対象としたIDの統合認証管理、境界防御からゼロトラストアーキテクチャへの移行プロジェクトの経験が評価されるでしょう。
開発プロセスにセキュリティを組み込む「DevSecOps的思考と自動化スキル」
開発~リリース~運用プロセスを統合するDevOpsに、さらにセキュリティを組み込んだDevSecOpsの概念が注目されています。開発サイクルの後半に行われることが多かったセキュリティ診断が各工程で実施されることで、早期における脆弱性の発見および品質とリリーススピードの向上が実現されます。
脆弱性検出ツールを用いたCI/CDパイプラインへのセキュリティテストの組み込みや、IaC(Infrastructure as Code)導入によるセキュリティ向上の実現、といった経験は高く評価され年収アップに繋がります。従来の手動タスクを自動化し、開発スピードとセキュリティを両立させるモダンな視点を身につけておきましょう。
再現性を持って解決に導く「インシデント対応スキル」
最も苦労しがちな、セキュリティインシデントや障害が発生した際の対応こそ、評価されるポイントになります。本番環境で迅速に原因を切り分け、根本的な再発防止策を導入するまでの一連の経験とスキルは、強いアピールになるでしょう。
さらに、プロセスの標準化とナレッジベースの構築により対応の再現性を高めたり、障害の予防に繋げたりといった、インシデント管理までできればベターです。
経営層にリスクを翻訳して伝える「対人折衝スキル」
レジリエンスに優れた高度なセキュリティの実現のためには、ITチームを超えた他部門の理解や、経営層の巻き込みが不可欠です。セキュリティリスクの重大性や、セキュリティ予算確保の必要性を、役職者に対してうまく翻訳して伝えることが重要なポイントになります。
経営層へのセキュリティ投資のプレゼン力や、他部署の利害を調整して施策を推進するファシリテーション力といった対人折衝スキルは高く評価され、年収に差をつけるでしょう。
【レベル別】キャリアアップを後押しする資格ロードマップ

【初級】基本情報技術者やSecurity+で基礎知識を証明する
| 【おすすめ資格】 | 【特徴】 |
| 基本情報技術者試験 | 国家資格。プログラミングからインフラまでITエンジニアの技術の土台となるスキルの証明になる。近年セキュリティの出題割合が高まっている |
| CompTIA Security+ | 世界的に認知されている資格。実務に直結する幅広いセキュリティ知識の証明になる |
若手や未経験層にとっては、まずIT全般の基礎と合わせてセキュリティの原則を体系的に学習するのがよいでしょう。上記はどちらも実務経験が浅くても取り組みやすく、転職市場の入り口で評価される資格です。
なお、国家資格の一つに「情報セキュリティマネジメント試験」がありますが、これは以下の理由から、エンジニアの転職においてはそこまで評価されない場合が多いです。
- ITエンジニア以外の業務従事者が多く受験する傾向がある(ITパスポートと同様)
- 近年の合格率が70%台で推移しており、難易度が低いとみなされる
【中級】応用情報技術者やSSCPで運用スキルを証明する
| 【おすすめ資格】 | 【特徴】 |
| 応用情報技術者試験 | 国家資格。エンジニア中堅層の実力証明になる。セキュリティの最新トレンド技術も出題されている |
| SSCP | グローバル的な標準に準拠。セキュリティの概念、ポリシーを実務に落とし込むスキルの証明となる |
| AWS Certified Security – Specialty | AWS環境におけるセキュリティに特化した専門資格。クラウド主体の現在、即戦力の証明になる |
実務経験を積んだ中堅層が、現場での即戦力とクラウドネイティブなスキルの証明に役立つ資格をピックアップしました。運用・保守から設計・構築へステップアップする際に有効です。
【上級】情報処理安全確保支援士やCISSPで高度な専門性を証明する
| 【おすすめ資格】 | 【特徴】 |
| 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ) | 日本で唯一のサイバーセキュリティに関する国家資格。セキュアなネットワークの設計や暗号技術など高度な内容が問われる |
| CISSP | グローバル的なセキュリティ資格の最高峰。4~5年の実務経験が必要。ガバナンス設計やリスク管理の専門性を証明する |
セキュリティコンサルタントやアーキテクトを目指すハイレベル層が、市場価値を決定づける最高峰の資格です。難易度は高いですが、高度な専門性が立証され、キャリアアップと年収アップのトリガーになるでしょう。
セキュリティエンジニアのキャリアパスにおけるよくある失敗談

「セキュリティの予算や権限」がない企業を選んでしまい、上流の経験が積めない
大手企業の案件や、高年収のポジションだからといって、必ずキャリアアップできるとは限りません。経営層にセキュリティへの理解がないために予算が下りず、結局コスト削減のために旧来型ツールの運用保守や設定変更ばかりをさせられてスキルが伸び悩む、というパターンも大いに考えられます。
一つの目安となるのが、ゼロトラストの推進状況です。今やクラウドやSaaSを使っていない企業はないといえますが、予算を惜しんでセキュリティの設計切替が伴っていない場合、サイロ化が解消されずツールが乱立した状態になりがちです。エンジニアは泥臭い手動作業や後手後手のトラブル対応だけで多忙となり、時間が過ぎていってしまうでしょう。
特定のツールやベンダー製品の設定しかできない「オペレーター」で留まってしまう
企業の求人票にある「最新のセキュリティ製品に触れられる」という触れこみも要注意です。製品は最先端でも、権限は親会社やベンダーが握っており、実態は特定のツールのオペレーターとして、仕様書通りに画面を操作するだけ、というパターンがあるからです。
ダッシュボードを開いても「高度な機能には権限がないためアクセスできない」「チューニングやログ解析もベンダー任せ」、さらに「特定の製品だけの操作に終始する」という状況では、汎用的なスキルが身につかず、市場価値が停滞してしまうでしょう。求人文句に釣られず、キャリアアップに繋がらない環境を冷静に見抜いて回避する必要があります。
理想のキャリアを実現するなら「キッカケエージェント」に相談を

無差別な応募の強要なし。「本音の壁打ち」であなたのリアルな市場価値を正確に測れる
自分のキャリアや市場価値についてプロに相談したいけれど、無理に転職を勧められるのではないか、と不安の方もいるでしょう。しかしキッカケエージェントでは、転職エージェントにありがちな「大量応募の強要」は一切行いません。
キャリア相談によって一人ひとりのリアルな市場価値を測り、本人に合う選択肢を見極めて提案します。現職に残るべきであれば、転職をお勧めしないというスタンスで、利用者のリピート希望率が96%に達していますので、お気軽にお問合せください。
ITエンジニア転職のプロに
今すぐ無料で相談する企業のリアルな採用基準(裏事情)に基づく「職務経歴書添削」と「個別面接対策」が受けられる
キッカケエージェントには、企業の本音、内部事情に精通したアドバイザーが多数在籍しており、企業目線からの職務経歴書の添削や、個別面接対策を受けることができます。
企業ごとのリアルな評価基準、過去のお見送り理由を踏まえたフィードバックによるサポートは、選考通過率を向上させる武器になるでしょう。
個人では難しい「適正な年収交渉」の代行や、大手・有名企業の「非公開求人」へアクセスできる
転職エージェントならではのメリットとして、個人では難しい年収交渉の代行や、非公開求人へのアクセスが可能であることがあげられます。
キッカケエージェントでも、厳選されたコンフィデンシャルな求人を紹介しており、また、企業との力関係に負けない適切な年収交渉を代行します。あなたの年収アップや良質なキャリアパス実現のための、強力なパートナーとなるでしょう。
まとめ
サイバー攻撃の脅威の増大により、セキュリティエンジニアのニーズは急騰しています。しかし市場価値、年収を高めるためには、AIに代替されにくいコアスキルを磨き、上位職種へキャリアアップしていくことが重要です。
闇雲に転職してしまうと、モダンな技術に触れられない運用・保守の仕事が続いてスキルが停滞してしまう恐れもあります。転職エージェントを活用し、優良な求人を紹介してもらったり、自分に合った選択肢を提案してもらったりすることが有効です。
キッカケエージェントでは一人ひとりに寄り添った手厚い転職サポートを実施しています。まずは無料のキャリア相談から始めてみませんか。
ITエンジニア転職のプロに
今すぐ無料で相談する参考記事
転職のミスマッチをゼロにする
キッカケエージェントは、あなたのオンリーワンのエンジニアキャリアを共創します
今の時点でご経験をされている言語や技術要素に関係なく、
① 技術を通じてユーザーやお客様にとって使いやすいサービスの実現に興味があるエンジニアの方
② 興味・関心がある技術について自ら学ぶ意欲をお持ちの方
上記に当てはまる方でしたら、素晴らしい企業とのマッチングをお手伝いできる可能性が高いです。
ITエンジニア転職のプロに
今すぐ無料で相談する







